口臭対策は、対人関係において重要な「大人のエチケット」だ。しかし実際には、自分の口臭が気になるものの、十分な対策ができていないという方も少なくないだろう。
パナソニックは2019年6月、毎日の口内ケアをサポートする「ジェットウォッシャードルツ」の新商品、EW-DJ52を発表。同社とオーラルケアに関する意識調査を行った、”内科医”であり”ニオイ評論家”でもある桐村里紗先生に、今回口臭に関するさまざまな疑問をぶつけてみた。
桐村先生は、ジェットウォッシャードルツの使用を推奨し、ご自身でも実際に同商品を使用しているという。果たして、正しい口臭対策とはどのようなものなのだろうか。
そもそも口臭の原因は?
まずは、口臭が発生する原因について理解しておくことが重要だ。桐村先生によれば、大きく以下の3つが原因になるという。
【口臭の主な原因】
1.歯垢・歯周病菌
2.唾液の減少
3.内臓などの疾患によるもの
口臭は、歯周ポケットの奥深くにまで入り込んだ歯垢の中で、歯周病菌が増えることで発生する。歯周病菌がさらに繁殖すると、「ザリガニ臭」や「ドブ臭」と言った悪臭を引き起こすこともあるという。
ひどい口臭を発する当の本人はそれに気付かず、周囲の人が迷惑を被るケースも少なくない。加えて、「唾液の減少」も口臭に深く関係しているそうだ。
桐村先生:生物学的な口腔の観点で言うと、唾液が減った時に口臭が発生していくことがわかっています。緊張している時や集中している時など、体がストレスを感じているシーンでは、唾液が減って口臭が発生します。
唾液は、もともと口の中を洗い流し、適度に口内の殺菌を行う役割を担っています。唾液が減ると、口の中の「常在菌」が増えてしまい、それが口臭の原因になるケースも少なくありません。
つまり、口内環境を整え「質のいい唾液を適度に出しておくこと」が口臭を抑えるポイントです。
口内ケアを怠ると健康にも害が?
桐村先生によれば、歯周病菌が口内の出血箇所から血液を通して全身に広がり、あらゆる病気の原因になることもあるという。
桐村先生:例えば、動脈瘤の中に歯周病菌が見つかったり、病気で亡くなった方の遺体を解剖したら中から歯周病菌が出てきたりというケースもあります。口内ケア・口臭に向き合うことは、自分の健康状態を知るためにもとても重要です。
また、口の中をケアしないと脳梗塞や心筋梗塞、癌のリスクにつながることも忘れてはいけません。さらに、女性の場合はアルコールを飲むよりも、歯周病の方が流産のリスクが高いとう結果も出ています。
自分で口臭に気付く方法は?口臭セルフチェック法
――口臭に自分では気付きにくい原因は、自分のにおいに慣れてしまう「順化」によるものということですが、何か自分で口臭に気付ける方法はありませんか?
桐村先生:実は、口臭には「気付きやすい口臭」と「気付きにくい口臭」の2種類があります。
重症な歯周病が原因の口臭は、慢性的に24時間発生しているため気付きにくいんです。そのケースでは、さまざまなメーカーから発売されている「口臭チェッカー」などで、客観的にチェックしてみるのがいいでしょう。
また、朝起きた時の口臭って「今臭いな」と気付きやすいですよね。唾液の減少が関係している口臭は、24時間発生する訳ではないので比較的気付きやすいものです。ただし、一般的な口臭であれば「自分の指を舐めて唾液のニオイを嗅いでみる」「ガーゼに唾液をしみこませて嗅いでみる」という方法でもチェックできます。
あとはやはり、「身内を味方につけて確認してもらう」のも客観的でいいですね。他人に指摘されると傷つくかもしれませんが、パートナー・配偶者などの間に「言い合う文化」を作っていくことも大切だと思います。ヘルスケアの観点からも、体の変化に気付けますし。
――なるほど。もし、外出先などで自分の口臭に気が付いたら、どのように対処すればいいでしょうか?
桐村先生:一番簡単なのは、ガムを噛むことです。咀嚼をすると唾液が出てくるので、唾液が減っている時には有効な手段です。ガム以外にもタブレットでも良いのですが、できればどちらもキシリトール100%のものを選ぶと良いでしょう。
また、「長時間喋らない」など、あまり口を使わない状況だと唾液は減ってしまいます。そのような時は、「口の中で舌をぐるぐる動かす」のも一つの方法です。舌を前歯の表側から歯に沿うように何周かすることで、唾液が出てきます。