エコな企業か否かがブランド好意度に影響を及ぼす?!
「Millennial Pulse」のレポートによると、ミレニアル世代の90%は「社会的で環境に優しい取組みをしているブランドの商品を信頼し、購入する」と回答しています。
さらに、95%は「そのブランドの商品を友人や家族に製品を勧める」と答えています。
このように、エココンシャスなミレニアル世代は、ブランド選択の際「エコな企業か否か」が重要な軸になってきているのです。
また、この調査でミレニアル世代に「最も信頼できるブランドは?」という質問をしたところ、パタゴニア、ホールフーズ、テスラなど環境に良い取組みをしていることで有名な企業が挙がりました。
このような背景もあり、最近ではミレニアル世代の信頼を得るために、大手企業は持続可能な事業に取り組んでいることをPRしています。
例えば、ウォルマートは公式HPに「持続可能な商品リスト」を作成したり、ユニリーバは「持続可能な生活」というページを立ち上げ、取組み内容を発信しています。
エコな取り組みをしていれば企業は成長するか?
しかし難しいのが、ミレニアル世代含め、サステイナブルやエコに関心がある消費者が増加しているからといって、価格が高価であっても彼らが躊躇なく商品を購入するか?それだけで企業に対するブランド好意度が上がるのか?と言うと、そうでもないこと。
例えば、先述したプラスチックを一切使用しないスーパー「プレサイクル」。
商品は地元でつくられたオーガニックのものを中心に揃えられていることもあり、値段は普通のスーパーと比較すると1.5~2倍程度。
マンハッタンから少し離れたブルックリンにあるということもありますが、店を訪れた時は私以外お客さんが誰もいませんでした。
エコな取り組みをするとコストは必然的にかかってきます。
例えば、紙製のストロー。プラスチックのストローと比較し、紙製のストローはコストが10倍近く高く付きます。
そのため、プラスチックストローの廃止をする企業はコスト高に対応していく必要が出てきます。
消費者にエコな取組みを理解してもらうために
地球に配慮した取り組みをすることはコストが掛かります。しかし、そのような活動が結果的に私たちの未来を良くします。これらの事実を消費者に理解してもらえるよう、発信していくことが大切です。
エコな取組みを消費者に関心を抱いてもらうためには、2つ重要なポイントがあると考えます。
1つは、消費者にメリットがある施策を実施すること。やはり人間たる生き物、何らかのメリットを感じられなければ、自分ゴトとして考えることは難しいでしょう。
そしてもう1つは、消費者を巻き込んだ取り組みを実施していくことです。
前者の例としては、日本では野菜やフルーツなどの青果品はパックに入っていることが普通ですが、そうではなくバラ売りにして「青果を入れる容器を持参した人には割引を適用する」など。
後者の例としては、食用肉を生産するためにどれだけの資源が使用されているかを見てもらうエコツアーを実施するなど。
「百聞は一見にしかず」と言いますが、実際に自分の目でみたことは決して忘れることはありません。
地球への配慮とコスト。その両方に折り合いをつけて、消費者を巻き込みながらビジネスをしていく企業が今後求められていくでしょう。
文/小松佐保(Foody Style代表)
一橋大学経済学部卒業。日本&シンガポールのブランドコンサルに勤務した後、食領域に特化したマーケティングコンサルとして独立し、アメリカ・ボストンへ。
会社員時代に生活習慣の乱れが原因で体調を崩したこと、ボストニアンの心身共にヘルシーなライフスタイルに感化されたことで、「食×健康」に関心を抱くように。
現在は、ニューヨークの世界最大の栄養学校Institute for Integrative Nutritionでホリスティックヘルスを学びながら、食生活やライフスタイルを改善するための情報発信やイベント開催などを行っている。