プレイの模様を見学してみて
筆者は、クラウドファンディングで成功を収め、発売間もないこのゲームのプレイを見学する機会があり、実際にどれほどの面白さなのか確認した。
プレイヤーは3人で、最初に西野さんからルールについてのインスト(説明)がなされた後にスタート。準備フェーズ→アクションフェーズ……と、この種のゲームとしては手順が多く、選択肢も多いため、何をどうすればいいのか戸惑うのは最初のうちだけ。流れを把握したプレイヤーたちは、さくさくと自分の人生を30代、40代へと進めてゆく。
「30代、おそくとも40代でみんな結婚するのだろうな」という筆者の読みをよそに、彼氏を旦那に昇格させたのは1人だけ。実は、結婚するかどうかは、引いたイベントカードの結果次第。自分の意志だけでは、今の彼氏と結婚できないようになっている。
結婚したプレイヤーは、その後子どもをもうけ(これもイベントカードで決まる)、持ち家を得るなど、世間一般の価値観からすれば順風満帆な人生を築いている。他方、ほかの2人は、タレントや保育士となり、30代で留学したり、医師の彼氏が病気になって経済的危機に直面したりなど、波乱万丈だ。
最終的には、4人の子宝に恵まれ、人生の目標も達成したプレイヤーが、若い頃に買った株式の値上がり益も手伝って、最高得点により勝利した(注:株式投資は別売の拡張セットに含まれている)。
ゲーム終了時の勝利者の個人シート
プレイヤー同士のインタラクション(駆け引きや妨害)が少なめのゲームなので、その点で「盛り上げるかなぁ」と案じていたが、かなりエキサイティングに展開していった。あるプレイヤーが医療保険に加入した直後に病気にかかるライフイベントがあるのを見て、他のプレイヤーも保険を検討するなど、プレイ内容が微妙に相手に影響しているのも一興だ。
また、「FPが考えたゲームだけあって、貯蓄、株式投資、保険という要素に比重が置かれているはず」とも予想したが、実際のプレイを見ると、そこまででもないようだ。西野さんは、「限られた人生のなかで自分の夢や願望を、いかに他の体験も重ねながら実現してゆくか」、その重要性の気づきを得ることを主眼にしているという。だから、夫と子供を持つという、かつては模範とされていた女性の生き方をまっとうするが唯一の正解でもなく、それは各プレイヤーが決めることだとも。西野さんのコメントを聞いて、エンタメ性がありながら、結構深いゲームだと感じ入った。
「人生を生きるゲーム」の「カレポ」は、クラウドファンディングを終えて、Amazonを始めとするオンライン通販にて販売されている。
【参考】公式サイト
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)