小規模企業共済は入って損なし?
深田さんが、「やっといて損はないかも」とフカザワさんにすすめたのが、「自営業のための退職金制度」とも呼ばれる小規模企業共済。
退職金のないフリーランスには小規模企業共済がある(本書より)
45歳のフカザワさんが、仮に入った場合のシミュレーションをしてみると、毎月2万円の積み立てで20年間続けた場合、総掛け金480万円に対し、受け取れるのは約557万円と、77万円のプラス。銀行預金の利息よりずっといいが、現役時代に毎月2万円を確保することに迷うフカザワさん。
しばらく経ったある日、出版社の担当編集者の紹介で、ファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さんに会い、やはり小規模企業共済をすすめられて開眼。確定申告時に掛金を全額控除できる、といったメリットも知らされ、申し込みを決断する。
小規模企業共済の申し込みは簡単、でも加入まで待つ必要がある(本書より)
申し込みは簡単だが、加入者への手帳やしおりが送られてくるのは40日ほど後。加入資格満たさずで断られる場合、その知らせには約2か月かかる点には注意。お金に関することは、何事も早めが肝心だと、フカザワさんは実感する。
つみたてNISAは結局お得か?
「お守りにもならない」保険を解約して、浮いたお金を「つみたてNISA」にあてようと考えたハッチーさん。
竹川さんは、「はじめは初心者にもわかりやすいつみたてNISAを始めてみて、余裕ができて、もっといろいろやりたいって思ったらiDeCoもおすすめ」とアドバイス。
そもそも、「つみたてNISAって何?」だったフカザワさんとハッチーさん。竹川さんは、「基本的に投資信託を積み立てていく制度」だと言い、対象となる金融商品は「長期、積み立て、分散投資に適したものとして一定の要件を満たした投資信託」限定だという。そうした投資信託(投信)の長所は、分散効果が高くコストが安く、少数企業への株式投資に比べてリスクは小さい点。
対象商品が限定されているといっても、それなりの数があり、どれにするか悩むハッチーさんに対し、竹川さんがイチオシしたのは「日本も含めて47か国の株にまとめて投資できる」商品。具体的には、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」といった、指数(インデックス)に連動するのが一番ラクだという。
それでもハッチーさんは、多くの選択肢に目がくらんで逡巡。しかし、最終的にはアドバイスどおり、日本を含む世界株式の指数である「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」に連動したインデックスファンド(「全世界株式インデックスファンド」)に決める。
紆余曲折の末、日本を含む世界株の投信に決めたハッチーさん(本書より)
この種の投信は、ローリスク・ローリターンのイメージがあるが、世界株式で1万円ずつ毎月積み立てした場合、過去のデータでは積立元本240万円が「平均で563万円になったという結果」もあるそうで、ハッチーさんはホクホク顔だ。
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上記のような家計の改善策をいろいろやって、今後に自信が芽生えたフカザワさん夫婦。貯金や老後資金の諸々について、「これからもマイペースにがんばっていく」と決意を新たにする。
マネープランは、フリーランスや非正社員だから、もう40代だからと、諦める必要は全然ない。本書を参考に、できることからスタートしてみてはいかがだろう。
フカザワナオコさん プロフィール
1973年生まれ。イラストレーター&漫画家。「独身、彼ナシ、金ナシ」の楽しくも切ない毎日をつづったコミックエッセイ『毎日がおひとりさま。』が好評を博しシリーズ化。以後継続してコミックエッセイを刊行し、雑誌やウェブサイトなどにもイラストや漫画を執筆し、著作は10冊以上を数える。2015年春、42歳のときに結婚。
【参考】公式ブログ
※メガネをかけた写真の女性とフカザワナオコさんは別人です
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)