G-SHOCK 初号機『DW-5000C』のスクエアデザインを、最新の耐衝撃構造によってフルメタル化した『GMW-B5000』シリーズが、発売から1年を経た現在も売れ続けている。1983年に誕生したG-SHOCKの歴史を振り返りながら、「GMW-B5000」シリーズの魅力を、長年、G-SHOCKを愛する、時計ジャーナリストの竹石祐三さん、イラストレーターの村田峻治さん、スタイリストの小孫一希さんの3名が熱く語り合った。
語り尽くせない数々の魅力こそがG-SHOCKの凄さを物語る
竹石 はじめてのG-SHOCKは、1991年に発売された『DW-6000』のカーキグリーンでした。液晶の上にあるインジケーターが特徴で、1/1000秒のストップウォッチが初めて搭載されたモデルです。同じ年に、アメリカでDW-5900系が発売されてヒットしたのですが、この頃のモデルをターニングポイントに、初期5000番台のシンプルなデザインから、ボリュームのあるタフネスなデザインへと変わっていきました。
小孫 僕がG-SHOCKを持ったのは、ラバーズコレクションやイルカ・クジラモデルをきっかけに一大ブームが巻き起こった90年代の後半です。当時はストリートカルチャー全盛期で、ルーズなスタイルのB系ファッションが流行し、シューズもハイテク系のバッシュなどボリュームのあるスニーカーが定番でした。G-SHOCKのゴツさってストリートファッションと相性がいいんですよ。正確な品番は失念しましたが〝イルカ・クジラ〟や〝マンシリーズ〟などを服に合わせて何本か買いました。
竹石 当時、小孫さんが持っていたような“レアG”と呼ばれるモデルが欲しかったんですが、シーズンごとに必ず欲しいモデルが必ずあり、リリースサイクルも早いので買い時がとても難しいんですよ。次に買ったのが、1999年に発売されたデジアナの『AW-500D』で〝ガラパゴス〟と呼ばれるタイアップモデルでした。ほぼ一目惚れで、サテンがかったブルーが服に合わせやすかったことも決め手になりましたね。バリエーションが豊富で選ぶ楽しみもありました。顔は同じでも色や質感が違うだけで、まったく別のモデルに見えますから。そこも唯一無二の特徴だと思います。
村田 確かに買うタイミング難しいですよね。私の場合、G-SHOCKが登場した時はまだ高校生で、凄い腕時計が出たなと、ずっと気にはなっていたんですが、社会に出てからは機械式時計にハマってしまい、買うタイミングを逸したんですよ。実際に手にしたのは2000年代になってからなんです。
竹石 最初に選んだのはどのモデルだったんですか。
村田 海外版のスピードモデル『DW-5600』ですね。アニメーター(当時)という仕事柄もあるのかもしれませんが、昔から映画を観ているとつい小物に目がいってしまうタチなんです。これは映画「スピード」を観た後にミーハー買いをしました(笑)。ただ裏ブタをビスで止めるタイプだったので、オリジナルと同じスクリューバック仕様の復刻版が発売された時、すぐに買い替えました。
竹石 今日はレンジマンですね。
村田 そうです。方位・気圧/高度・温度が計測できるトリプルセンサーが搭載されていますが、機能面よりも、竹石さん同様、デザインに一目惚れという感じです。気軽に買えていろいろなシーンで使えるのはG-SHOCKの他にはない大きな魅力といえますね。
竹石 シーンを選ばず気軽に使えるのもポイントですよね。日常でもアウトドアでも使えますし、これからの季節は海で着ける時計としても使えます。アウトドアで使うのですか?
村田 実は、スピードモデルを買った当時、エンジンがリジットマウントのエヴォリューションの古いハーレーダビッドソンに乗っていたのですが、とにかく振動が凄くて。エンジンをかけるとナンバープレートが割れて落ちるほどでした(笑)。アナログ時計をしてツーリングに出ようものなら針が飛んで折れてしまうんですから。
竹石・小孫 恐ろしいバイクですね(笑)。
村田 そうなんです。G-SHOCKに変えたことで一気にその悩みも解消され、デジタルウォッチのアドバンテージを知る、良いきっかけにもなりました。デザインの妙としては、シンプル・イズ・ベストの5600への思い入れが強いですね。
小孫 僕も5600系を愛用していますが、村田さんのモデルよりも前に発売されたもので、電波ソーラーが付いた最初期のタイプですね。もう10年以上も使っていますから本当にタフだと感じます。僕は腕が細いのでボリュームのあるタイプよりシンプルな方がマッチしやすいので、5600は気に入っています。
村田 10年ぐらいじゃびくともしない(笑)。男の道具として、ヘビーデューティーの極みだと思います。
G-SHOCKを長く使い、初期型デザインをリスペクトする3名だけに、フルメタルの『GMW-B5000』シリーズに絶賛を惜しまない。昨年6月の発売と同時に完売。現在でも品薄状態が続いているが、すでに竹石さんはシルバーモデルを愛用。村田さん、小孫さんも入荷を待ち望んでいるのだという。、
フルメタル『GMW-B5000』には35年間の流儀がすべて凝縮される
竹石 昨年の2月ぐらいに、G-SHOCKの展示会で見たのですが、初見で「これぞ自分の求めていた最強のG-SHOCKだ」と思い、「これを買わずして何を買うのか」と、年甲斐もなく舞い上がりまして(笑)、早々に予約して運良く手に入れることができました。
村田 メタル化は衝撃でしたね。私にとっては懐かしく思い入れも強いG-SHOCK初号機であることも刺さりました。
竹石 特に引きつけられたのがもの凄くきれいな仕上げです。ヘアライン仕上げと艷のある鏡面仕上げのコントラスト ネジ穴の中まで磨きがかけられていますから。高級時計の美しさに通じます。
村田 相当手が込んでいますよね。
竹石 取材をさせていただいた担当者によると、金型に素材を流し込む射出成形でも作れないことはないそうですが、あくまで仕上げにこだわるためにプレス成形を選んだそうです。しかも、プレスは1度ではなく10回もですよ。1度プレスをした後に、磨きと焼きを入れ、これを10回以上繰り返さないと、この美しい鏡面は出てこないと仰っていました。個人的にはこの仕上げで6万円はかなりお買い得だと思いますね。
10回のプレスを経てつくられたケース。メタルの重厚感を最大限に引き出している。
小孫 サイズを変えずにBluetoothを実装していることも驚きました。電波ソーラーだけではなく、スマートフォンとのリンクもできるんですね。
Bluetoothによるスマートフォンリンクと、標準電波による時刻修正に両対応。世界中で正確な時刻を表示できる。
竹石 海外に出かけて、スマートフォンの時刻が変わると、自動的に時計本体の時刻も調整される。サマータイム情報も反映されるので、出張の多いビジネスパーソンには最適ですね。おつきあいのある時計ジャーナリストの方々の評価も高く、僕が愛用しているのを使っている方から、「僕も買いましたよ」となぜか連絡をいただくこともかなり多いですね(笑)。
編集部 シルバー、ブラック、ゴールドの3バリエーションありますが、みなさんはどのタイプが好みですか。
小孫 コーディネートで選ぶのであればシルバーですね。ビジネスからアクティブまでイケるオールマイティなモデルです。カジュアルなら黒、白シャツにラグジュアリーに合わせるならゴールドがおすすめです。
竹石 ゴールドの上品な雰囲気は格別ですね。金無垢のギラギラした感じではなく、イメージよりもずっと汎用性があります。腕時計は男性に許された唯一のアクセサリーですから、今使っているシルバーに加え、ゴールドも欲しいところですね。印象としては、村田さんはゴールドが似合いそうですね。
村田 そうですか(笑)。確かにこのゴールドは嫌味がなく近未来的な雰囲気もありますね。G-SHOCKのイメージからするとブラックもアリですが、欲しいのはシルバーですかね(笑)。ただ、どのカラーでも違和感なく溶け込むのは、完成されたデザインの証しです。個人的にはフルメタルの重厚感を備えながら、着用して疲れることのない、絶妙な重量バランスも気に入っています。
竹石 あくまで主観でいうと、G-SHOCKをビジネススーツにあわせることにどこか違和感覚えていたんですが、このモデルは初めてスーツに合わせられるモデルだなと実感しています。
村田 フォーマルでもまったく遜色がないですよ。現在もなかなか入手できないのは悩ましいですが、実際に実物を合わせてみると、人気があるのも納得です。
竹石 若い頃からいろいろなタイプのG-SHOCKを着けていた人たちが大人になり、一周まわってここに戻ってくるんだと思います。やはりこれだけ完成されたORIGINがあってこそのGショックですね。
『GMW-B5000D-1JF』
6万円
『GMW-B5000GD-9JF』
6万8000円
『GMW-B5000GD-1JF』
6万8000円
フルメタル『GMW-B5000』のために耐衝撃構造を搭載。ステンレス製のベゼルとケースの間に、ファインレジン製の緩衝材を実装することで、ORIGINのフォルムはそのままに、メタル外装の耐衝撃構造を実現させた。
メタルバンド接の続部を3本足構造にすることで、連結するパイプにかかる衝撃を分散。メタル製のバンドピースには、ディンプル加工を施すことで、初号機に使われた樹脂バンドデザインを継承している。
裏ブタは、初号機「DW-5000C」のスタイルを受け継ぐスクリューバックを採用している。
フルメタルケースに樹脂バンドを装着したアクティブなラインナップ
『GMW-B5000G-1JF』
5万6000円
『GMW-B5000G-2JF』
5万6000円
『GMW-B5000-1JF』
5万円
メタルケースにソフトウレタンバンドを装着した『GMW-B5000』シリーズのニューバリエーション。バンドに使用する美錠や遊環などには、IP処理を施した美しい発色のメタル素材を使用。メタルの質感をそのままに、ライトな装着性と軽量化を実現している。
プロフィール
時計ライター 竹石祐三
モノ系メディアの編集を経て、フリーランスに。愛用の時計はG-SHOCKからブライトリングなど多数。デザインや機能、思想からも腕時計をとらえ、各モデルの魅力を余すことなく発信している。
スタイリスト 小孫一希
2010年よるフリーランスのスタイリストとして活躍。ファッション誌やモノ系雑誌を中心に多くのメディアでスタイリングを担当する。腕時計などの小物とファッションのコーディネイトには定評がある。
イラストレーター 村田峻治
1980年代より、亜細亜堂やスタジオジブリ製作の映画・TVのアニメーションで作画監督や原画を担当。「天空の城ラピュタ」など、多くの作品に関わっている。現在はイラストレーターとして活躍する。
問い合わせ先/カシオ計算機 https://g-shock.jp
取材・文/安藤政弘 撮影/タナカヨシトモ 撮影協力/WeWork神保町