イヤホンジャックは健在で、カメラもそこそこ使える
メディアプレイヤーとして見たときにうれしいのは、やはり3.5mmのイヤホンジャックを搭載しているところだ。iPhone 7以降、iPhoneではイヤホンジャックが非搭載になり、Lightningに変換ケーブルをつけるか、AirPodsなどのワイヤレスイヤホンを利用する必要があった。前者は持ち運びが面倒、後者はケーブルの取り回しがないメリットはある一方で、バッテリー切れの心配があり、やはりイヤホンジャックに挿すだけで音楽が聞けるのは手軽だ。
下部に、3.5mmのイヤホンジャックを搭載する
背面には、800万画素だがカメラも搭載されている。iPhone並みの写真が撮れるかというと、必ずしもそうではなく、iPhone XS、XS Max、XRのような「スマートHDR」もないが、スナップ写真程度であれば、まずまずのクオリティで撮れる。スマホを併用していると、カメラは不要かもしれないが、先に挙げたARアプリなどを使う際には必須のデバイス。ケータイやタブレットなどと2台持ちする際にも、役に立ちそうだ。
カメラは800万画素。本体が薄いためか、やや飛び出している
スナップ写真を撮ってみたが、室内でもまずまずの写り。発色は、最新のiPhoneと比べると、やや地味に見えるかもしれない
一方で、Touch IDがなく、画面のロックを解除するたびにパスコードを入力しなければならないのは、どうしても不便だと感じてしまう。iPhoneでTouch IDやFace IDに慣れていると、なおさらその思いが強くなるが、かといって、画面ロックなしで使うのはセキュリティ上のリスクが高すぎる。iCloudでさまざまなデータを同期しているなら、面倒でもパスコードは設定しておくようにしたい。
ホームボタンはあるが、Touch IDには非対応
面倒でも、パスコードは必ず設定しておきたい
形が似ていることもあり、たびたびiPhoneと比較してしまったが、iPod touchは、32GB版が2万1800円からとiOS端末の中では最安。この価格を考えると、いくつかの機能が非対応なのも納得できる。さすがに1台でスマホの代わりに使うのは厳しいものの、Androidスマホを持っているユーザーがiOSの世界を体験したり、フィーチャーフォンと併用してアプリを使ったりするには最適だ。アプリが豊富にそろっているため、ゲーム機として、子どもに渡すこともできる。iPhoneのようなメインストリームにはならないかもしれないが、用途を絞って使うにはいい端末といえるだろう。
【石野’s ジャッジメント】
質感 ★★★★★
ディスプレイ性能 ★★★
撮影性能 ★★★
音楽性能 ★★★★
UI ★★★★
連携&ネットワーク ★★★
バッテリーもち ★★★★
持ちやすさ ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。