ト「もちろん施設に善し悪しはあるけれど、そんなこと、そのうちど~でもよくなる。基本的にサウナって『裸になって座ってるだけじゃん』って。でもそこから、サウナのスペックだけじゃない、サウナの新しい良さがいろいろと見えてきて、さらに気持ちいいのに」
カ「まさに〝ととのう〟の〝その先〟ですよね」
ジ「ほかのお客さんとコミュニケーション取るおもしろさとかね。そういうのもまたサウナの魅力なんですよ。サウナ室で微妙な駆け引きがあったりとかね」
カ「その駆け引きがまたビジネスにも有効だったりしてね」
ジ「ビジネスにとっても勉強になることが相当ありますよ」
ト「サウナ室の2段目が満員の時、新しくオヤジが入ってきてね。どうするか、1段目に行くかな? と思ったら、手刀を〝チョンチョン〟なんて切ると、2段目の人がその人のスペースを空けてあげたりする。そういうのがビジネスの駆け引きに役立つという」
ジ「そうやって周りの人とコミュニケーションを取りつつも、ちゃんと自分のペースでサウナに入る。これも重要」
カ「オオ! 和を保ちつつもシッカリと自分の意見は主張する……まさにビジネスと同じ!」
ト「でも最近は、自分のペースで入らない人が多いでしょ。2人連れできて、全く同じタイミングでサウナに入ってサウナから出て、水風呂入って水風呂から出たりしてね」
ジ「連れションかよって」
ト「人それぞれ好みも体質も違うのに、ほかの人と同じペースで入るってのは、本当はサウナの気持ちよさをわかってないって白状してるようなもんですよ」
カ「それで『ととのった』っていわれてもねェ」
ジ「要するに自分の肌でサウナを感じて入ってない。最近はネットにサウナ情報も多いから、そういう他人の情報をそのまんま鵜呑みにして、いいの悪いの、ととのったのととのわないの言ってる。そういう情報をまず忘れて、自分の肌で感じろ、と。そうすればますます気持ちよくなって、いろいろ見えてくるのに」
カ「ネット情報のバイアスに惑わされない、自分の感性を持つことが重要っていうのはビジネスにも共通しますね。本来の『サウナでととのう』状態は仕事に有効だし、『ととのうの先』に気づき、自分のペースと自分の肌で感じながら入れば、サウナはビジネスの勉強の場にもなるってことだなァ~。すみません、まとめました!」
気持ちいい、心地よい、体に無理のない自分のペースで通い、サウナ室、水風呂に入る。他人のペースや意見に惑わされるのは仕事同様言語道断。
サウナ情報は今や世間やネットにあふれているが、そんなものは気にせず、自分の肌でサウナを感じろ。自分の感性を信じるのはビジネスと同じ。
医学的にはどうなの?医師に聞いてみた
国際医療福祉大学病院 一石英一郎教授
京都府立医科大学卒、同大学院医学研究科修了、医学博士。先進医工学技術を医療現場に導入する統合医療やアンチエイジング療法の専門家。著書に『医者が教える最強の温泉習慣』など。
サウナに入ると脳が活性化する……!?
サウナ交代浴(※2)による精神安定作用は30年前からその可能性が報告されていますが、近年の動物実験などの研究で、脳内ホルモン・β-エンドルフィンの分泌が確認されました。β-エンドルフィンが脳に及ぼす快楽については、仮説段階で研究途上ですが、人間の身体への鎮痛効果や疲労感軽減は証明されています。
そして今回おそらく世界で初めてサウナ内で、いわゆる〝ととのった〟状態の被験者2名の脳波を測定すると、リラックス波(α波)、覚醒波(β波)、瞑想波(θ波)が同時に観測されました。癒し、覚醒、瞑想が一度に起こる不思議な状態です。この医学根拠の説明には、さらなる症例と検討が必要ですが、サウナ交代浴は、働き盛り世代の疲労回復、不眠解消、ストレス発散に大いに役立ちそうです。
※2 サウナと水風呂に交互に入ることを繰り返す行為。
取材・文/カーツさとう イラスト/トーマス・オン・デマンド(アスタリスク)