■連載/阿部純子のトレンド探検隊
JR東海が展開している「そうだ 京都、行こう。」では、苔や青もみじの名所、御朱印めぐりなど京の初夏を楽しむさまざまなプランがある。今回はライトアップや怪談、かき氷といった、暑い京都の夏をひんやりさせる涼めぐりの旅を紹介する。
蓮久寺「怪談説法」
住宅地の中にひっそりとたたずむ蓮久寺。観光寺院ではないため一般開放はしておらず普段は静かな寺だが、吉野太夫ゆかりの寺として芸事にご利益があると言われている。
住職の三木 大雲さんはテレビやラジオでレギュラー番組を持つ“怪談和尚”として知られ、「稲川淳二の会談グランプリ2014」優勝、「OKOWAチャンピオンシップ」初代チャンピオン、「“最恐”怪談師決定戦『怪談王2018』」優勝、「京都日蓮宗布教師会 法話コンクール」最優秀賞などの受賞歴を持つ。“怪談ストーリーテラー”として名をはせる三木住職が確立したのが、面白くて怖くてありがたい「怪談説法」だ。
自身の生い立ちや、廃寺だった蓮久寺を復興して住職になったいきさつ、恐怖体験など、漫才のようなテンポの良さで笑いを交えながら、背筋がぞっとするような現代の怪談話を展開し、死生観など仏教の教えをわかりやすく説く。巧みな話術で1時間半という時間があっという間に感じられるほどだ。
「誰でも簡単にできることは人の悪口を言うこと。言葉を覚えたての子どもでもできる。逆に非常に難しいのは人を許すということ。呪いという言葉は口に兄と書くが、兄という字は合掌している姿を表している。つまり人の言ったことを気にする、ということで、それが呪いの正体。悪口を言うことはすなわち呪いを発していること。悪口を言われてもその人を許す気持ちがあれば呪いにかかることはない」(三木住職)
意見が合わない人、見ず知らずの人への批判や罵詈雑言であふれるインターネットを見ていると、三木住職の言葉がずしんと心に響く。
三木さんが住職になりたてのころに(夢の中で)出会ったのが大黒様で、寺を探索したところ、ひどく傷んだ大黒様を見つけたという。お布施で修復されたが、お布施をした人にはご利益があったと評判になったとか。庭には大黒様をはじめとした七福神が並んでおり、中央にいるのは縁あって寺に来たリーダー(笑)のたぬき。
また、祈祷を行った際に三木住職についてきてしまった女の子が、今は座敷わらしとして蓮久寺に住み着いているのだとか。ふすまには座敷わらしと思われる手形が。誰も見ていない時にお菓子を食べたり、電池の入っていないオモチャを動かしたりやんちゃをしているとのことで、テレビで紹介されたこともある。外にあるトイレの電気をつけたり消したりいたずらをするそうだが、三木住職が「あかんで。電気代もったいないから消してや」と注意するとちゃんとやめる聞き分けのいい子らしく、ボヤがあったときも水をかけて消火してくれたそう。
日本全国から供養して欲しいといきさつのあるものが蓮久寺に送られてくるそうで、三木住職が手にしているのは髪が伸びる人形。最初はおかっぱ頭だったそうで、なんと倍以上も髪が伸びている。
〇対象ツアー「怪談和尚 三木大雲氏とめぐるあなたの知らない京都」
祇園下河原 page one
今年で133年目を迎えた森田氷室本店は京都で最古参の氷屋で、同店が立ち上げたのが、かき氷を提供するカフェ「祇園下河原 page one」。八坂神社やねねの道、八坂の塔からほど近い上弁天町に位置し、夏場は約2時間待ちという人気店だ。
48時間かけて凍らせて不純物を取り除いた硬く引き締まった氷を使い、その日の気温によってふんわり、少し粗めなど氷の削り方を変え、器状に削り出した氷の器にのせる。試食でいただいたのは宇治抹茶を使用した「宇治金時」(1100円・税込)。宇治抹茶の風味と苦味があり、甘いシロップが苦手という人にもおすすめ。甘みを足したいときは+100円で練乳や黒蜜を追加できる。
器も冷えているため氷が溶けにくく、ゆっくりと時間をかけて食べることができる。半分まで食べ進んでもこの状態でかなりのボリューム。「夏の京都の涼めぐり」に付いてくるクーポン2枚で宇治金時、クーポン1枚で苺、オレンジ、青りんご、レモンのいずれかをプレゼント。
〇対象サービス「ひんやり夏の京都たび 京サマーsweetsちけっと」