遺言を公正証書にする場合証人は必要?
公正証書遺言を作成するには、2人の証人が必要です。自分で探して頼むこともできますし、公証役場で紹介してもらうこともできます。
公正証書遺言の証人になるための資格とは?
証人は自由に選ぶことができますが、以下の人たちはなれません。
・未成年者
・推定相続人や受遺者。それらの配偶者や直系血族
・公証人の関係者
公正証書の証人に費用はかかる?
自分で知人などにお願いするなら、規定はありません。もちろんそれなりの手間と時間を割いてもらうことを考えれば、お礼はしっかりしましょう。
公証役場で証人を紹介してもらうこともできます。その時は紹介料として1人につき6000円ほどかかります。
公正証書遺言の効力とは?
法律の専門家である公証人が作成に関わるので、内容や書式に不備がでることはほぼありません。仮にあるとしたら、次のようなケースが考えられます。
・作成時に遺言者がすでに認知症などで正常な判断ができない状態だった
・証人が不適格者だった
・遺留分を侵害している
・その公正証書遺言より日付の新しい別の遺言書が出て来た
公正証書遺言の遺留分とは?
遺留分とは、兄弟姉妹を除く法定相続人に最低限認められる相続割合のことです。原則として、通常の法定相続割合の1/2がそれにあたります。
もし公正証書遺言で自身の遺留分が侵害されていることを知ったら、侵害者に対し「遺留分減殺請求」を行うことができます。
公正証書の遺言って変更できるの?
遺言書の訂正や撤回は自由にできます。公正証書遺言であってもそれは同じで、原則として新たに作り直すことになります。
公正証書の遺言を無効にすることはできる? 過去に判例はある?
作成時に遺言者に遺言内容を判断する能力がなかったと認められるなど、過去の判例において無効とされたケースが「公正証書遺言 無効 判例」などのキーワードで検索すれば、いくつもヒットします。
被相続人が認知症の場合は公正証書遺言が無効になるの?
認知症といっても「疑いあり」から「重度」まで程度はさまざまです。公正証書遺言のように専門家や証人がつき、現金のみなどの簡単な内容で、しっかり受け答えができていれば問題ないと判断されるでしょう。
不安がある場合は公証人に相談のうえ、必要に応じて医師の診断書などで「遺言能力」があることを証明することをおすすめします。
公正証書遺言の正本と謄本とは?
作成された公正証書遺言は、遺言者や証人、公証人が署名押印し公証役場で保管されます。これを原本といいます。
正本は遺言者や証人の署名押印は省かれているものの、原本と同じ効力があるものです。
謄本は原本のコピーであり、遺言者(死亡後は相続人も)請求することができます。
公正証書遺言はどのように保管される?
原本は公証役場において厳重に保管されます。また、東日本大震災の教訓から、電磁的記録化し、原本と別に保管する二重保存が全国の公証役場で実施されています。
公正証書遺言に保管期間・期限はある?
法的には20年となっていますが、実際は遺言者が生きている間は保管されます。
公正証書遺言の保管料はかかる?
公証役場で保管される原本は、銀行の貸金庫のような特別な費用はかかりません。手数料にすべて含まれています。
文/西内義雄(医療・保健ジャーナリスト)
医療・保健ジャーナリスト。専門は病気の予防などの保健分野。東京大学医療政策人材養成講座/東京大学公共政策大学院医療政策・教育ユニット、医療政策実践コミュニティ修了生。高知県観光特使。飛行機マニアでもある。JGC&SFC会員。