■連載/石野純也のガチレビュー
「Made by Google」をうたい、Googleが自ら設計、開発したスマートフォンがPixelシリーズだ。日本には、その第3世代となるPixel 3、3 XLで初上陸。AIを駆使したカメラ機能は、大きな話題を呼んだ。シングルカメラながら機械学習で被写体を見分け、背景をキレイにぼかせるポートレートモードや、ほとんど光のない場所でもクッキリとした写真が写せる夜景モードは、まさにPixel 3、3 XLの代名詞ともいえる。
ソフトウェアやAIをクローズアップしたPixel 3、3 XLだったが、それを処理するためのハードウェアも最上級の性能を誇っていた。一方で、そのために価格は一般的なハイエンドモデルと同レベルに高騰。コンパクトPixel 3でも9万5000円からと、割引なしでは手が届きにくい価格になっていたことは否めない。日本では初モノゆえに、思い切って購入できなかった人もいるだろう。
そんなPixelシリーズに、初のミドルレンジモデルが登場した。それが、Pixel 3aとPixel 3a XLだ。上位モデルと同様、画面サイズ別に2つのモデルが用意され、価格もPixel 3aが4万8600円から。上位モデルのPixel 3と比べ、約半額になる低価格を打ち出した。
Pixelシリーズ初のミドルレンジモデルとなる「Pixel 3a」(左)と「Pixel 3a XL」(右)
ミドルレンジながら、カメラのモジュールは上位モデルと同じで、画質も同レベル。その他のスペックは抑えられているが、カメラ重視のユーザーには非常にコストパフォーマンスがいい端末といえる。そんなPixel 3aと3a XLを発売に先立ち使用することができた。ここでは、その実力をお伝えしていきたい。
コストダウンの跡を上手に隠したボディで、画面の見やすさは健在
半額程度に価格が下がっているのには、もちろん理由がある。ユーザーの目で見て分かりやすいのは、ボディの材質だろう。上位モデルのPixel 3、3 XLがガラスの背面と金属のフレームを組み合わせていたのに対し、Pixel 3a、3a XLはポリカーボネート。重厚感のようなものはなく、どことなく“軽い”印象も受ける。
手に取ってみると、違いがよく分かる。ガラスの持つ硬質感がなく、ツルッとした質感で、なるほど、ここでコストダウンしているのがよく分かる。一方で、手に取ってみるまでは、違いが分かりづらいのも事実だ。比較したPixel 3、3 XLがガラスにサラサラとしたコーティングをかけていることもあって、離れた場所から見ただけだと、同じ素材を使った端末のようにも見える。その意味では、コストダウンの跡を上手に隠したデザインといえるかもしれない。
ツートンカラーを採用した背面のデザインはPixel 3と共通しているが、よくよく見ると素材がポリカーボネート
ほかにも、Pixel 3a、3a XLは、上位モデルから省かれている機能がある。ボディの素材より見えにくいところだが、防水機能が、IP52の耐水になっているのはその1つ。チャージャーに置いてみるとすぐに分かるが、ワイヤレスチャージにも対応してない。
ただ、防水仕様は人によって要不要が分かれるポイント。ワイヤレスチャージも、充電の手間は増えるが、充電そのものができなくなるわけではない。しかも、底面には、USB Type-Cを搭載しているため、ケーブルも挿しやすい。賛否両論あるかもしれないが、ミドルレンジモデルとして、こうした機能を非搭載にし、コストダウンに注力したのは正解だと感じた。
ワイヤレスチャージには非対応だが、底面のUSB端子はType-C
逆に、後述するカメラや、ディスプレイなど、ユーザーに一目で分かる機能は、ハイエンドモデルと比べても遜色ないレベルに仕上がっている。ディスプレイはPixel 3a1が5.6インチ、Pixel 3a XLが6インチ。どちらも18:9と縦に長く、有機ELを採用しているため、発色がビビッドで、視野角も広い。Pixel 3 XLのように、画面上部にインカメラが食い込む「ノッチ」はないが、映像はこちらの方が逆に見やすいほどだ。
解像度も2220×1080ドットのフルHD+で、本体と目の距離を適切に離せば、映像のドットは認識できない。ハイエンドモデルの中には、これよりも解像度の高い2Kや4Kのディスプレイを搭載しているモデルもあるが、スマホとして使うには、これで十分だ。もちろん、VRを楽しむため、より目に近づけるケースはあるが、こうした映像を処理するのは、ミドルレンジモデルにはやや荷が重い。その意味で、Pixel 3a、3a XLのディスプレイはバランスがいいといえるだろう。