開放からシャープで、ボケがキレイで、発色も鮮やか
作例撮影に同行してもらった写真家、小平尚典さんのニコン『D800』と20mm F2.8の単焦点レンズの組み合わせ撮った画像と『NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S』を比較してみると、発色は極めて似ており、そのカチッとした描写もさすがNIKKORレンズと思わせてくれた。どちらもF5.6で撮影しており、ピントのきていない端の方を比較すると、Fマウントの20mmは木漏れ日のサークルが真円でなく楕円になっており、やや歪んでいることが分かる。これに対して24-70mm f/2.8は四隅のボケた画像も歪みがなくボケかたも均等になっていた。また同じ絞り値でもピントの合った部分が均一にシャープで解像度の高いことが分かる。これが本機に搭載された精密にピントを合わせるマルチフォーカス方式の恩恵に違いない。レンズ構成はEDレンズ2枚、非球面レンズ4枚の15群17枚。従来の反射防止コーティングである「ナノクリスタルコート」に加えて垂直に来る光にも有効な「アルネオコート」も採用している。
左が24-70mm f/2.8で、右が20mm f/2.8で撮影した画像。絞りはF5.6に揃えた。中央に見える葉の水滴のピントが左側の方がシャープでコントラストも高い。
グリーンの中にひっこりと生えた紫色の葉。コントラストが高く色の違いが明確に分かる。紫の葉に対してはやや露出オーバーとも思える。
NIKKOR Z Z 24-70mm f/2.8 S Nikon Z6 1/80sec、F5.6、ISO320、70mm
同じ被写体を『D800』+24-120mm f/4で撮影。こちらはしっとりとした色合いで紫の色が濃い。100mmで撮影しているため背景がボケて主題が浮き上がっている。
AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR Nikon D800 1/50sec、F5.6、100mm
青系とグリーン系に強いNIKKORの本領発揮。瑞々しい葉の色と水滴、葉脈などがクッキリと描写され、色だけでなく形の力強さも再現された。
NIKKOR Z Z 24-70mm f/2.8 S Nikon Z6 1/90sec、F5.6、ISO200、57mm
望遠端70mmで最短撮影距離38cm、絞り開放で撮影すると周囲は完全にボケて主題が浮き上がる。AFまかせでもピントは正確で安心して撮影に専念できた。
NIKKOR Z Z 24-70mm f/2.8 S Nikon Z6 1/250sec、F2.8、ISO200、70mm
さらにAFが苦手そうな被写体。EVFの拡大表示ボタンがプラスとマイナスで独立しているため、ファインダーをのぞいたまま、素早く拡大してピントを確認できるのがとても便利だった。
NIKKOR Z Z 24-70mm f/2.8 S Nikon Z6 1/250sec、F2.8、ISO200、70mm
NIKKORレンズが苦手とされる赤系の発色も悪くない。飽和しそうな色乗りの良さ、花びらの柔らかい質感描写も見事である。
NIKKOR Z Z 24-70mm f/2.8 S Nikon Z6 1/125sec、F2.8、ISO100、70mm
黄色いチューリップの花。曇り空の下での発色はほぼ見た目と同じに再現された。『D800』と比較しても解像感は同等、絞り開放から非常にシャープであることが分かる。
NIKKOR Z Z 24-70mm f/2.8 S Nikon Z6 1/125sec、F2.8、ISO100、70mm
24-70mm f/2.8と比較するとややマゼンタが強く温かい色味になった『D800』+24-120mm f/4の作例。背景のボケ具合はF4でも意外にいい。
AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR Nikon D800 1/200sec、F4、ISO200、65mm
広角30mmで撮影しても絞り開放ならここまでボケる。さすがフルサイズだ。センサーサイズの小さいフォーサーズではこうは撮れない。
NIKKOR Z Z 24-70mm f/2.8 S Nikon Z6 1/1000sec、F2.8、ISO100、30mm
上の30mmと同じ位置から70mmまでズームアップ。このボケ具合ならポートレートもF2.8で充分と思わせてくれる。
NIKKOR Z Z 24-70mm f/2.8 S Nikon Z6 1/1000sec、F2.8、ISO100、70mm
写真・文/ゴン川野