一般社団法人日本衣料管理協会が2019年1月に発表した『衣料の使用実態調査』(平成28年度調査分)によれば、男性のワイシャツの平均保有枚数は11.1枚で、平均購入価格は4200円だった。ちなみに平成27年度調査分では、平均11.2枚、平均購入価格は4500円となっている。
同調査は50歳~54歳中心の男性303人を対象としたもので、メンズビューティー・ユーザーよりも年齢は高め。あくまでも参考値として考えたいが、とはいえ月~金の5日間5枚分を10枚プラスαの枚数で着回している、というのはビジネスマンにとっては現実的な数字と言えるだろう。
では、その〝メンテナンス〟だが、予算と時間の問題から毎回クリーニングに出すのは難しい。必然的に自宅での洗濯が主になる。そこで浮上するのがアイロンがけだが、ご存知のように各種調査を見てもアイロンがけは不人気家事の筆頭。単身者ではアイロン台の準備などハードルも高い。
「衣類のシワ」に関するアンケート
しかし、衣類のシワは意外に周囲からチェックされており、20~40代男女416名に「衣類のシワ」に関するアンケートを実施(※)したところ、自分の服のシワが気になる(99.1%)のはもちろん、友人・同僚など身近な人のシワも気にしている(67.8%)ことが判明。さらには通りすがりの人のシワが気になる人も半数を超えた(54.8%)。
服がシワシワな人に受ける印象は?
また、服がシワシワな人に受ける印象は「清潔感がない(84.4%)」が圧倒的な1位に。オフィスシーンでも「仕事が出来なさそう(45.2%)」、「信頼感がない(26.0%)」と仕事関係に影響が出る可能性も浮上した。
※調査概要
・調査対象/ファッションに興味があり、衣類のシワが気になる20~40代男女416名
・調査期間/2019年2月8日(金)~2月10日(日)
・調査方法/インターネット調査
そこで、メンズビューティーが注目したのが、4月20日に発売されたばかりのパナソニック「衣類スチーマー NI-FS750」だ。衣類をハンガーにかけたままで手軽にシワを伸ばせるほか、立ち上がり時間約24秒といった特徴に加え、この新モデルではタンク容量を従来の2倍となる約100mlに増量するなど、さらに機能が充実。
というわけで、今回はスタイリストの大西陽一さんを迎えて、〝洋服のプロ〟ならではの視点で、衣類スチーマーの使い方を教えていただいた。「アイロンがけは苦手で…」という方こそ、ぜひチェックしていただきたい。
大西陽一さん
雑誌や広告など幅広く活躍中のスタイリスト、ファッションエディター。
手がけるジャンルはメンズファッションにとどまらず、インテリアやクルマ、雑貨までもカバーする。
最初はワイシャツのシワとりから。まずワイシャツをハンガーにかけ、ボタンは閉める。
大西 シワをうまく伸ばすには、ワイシャツの裾を軽く引っ張りながら、スチームをあてていくのがポイントです。衣類スチーマーの動かし方は、素材が綿・麻系の場合は10cmを約3秒が目安になります。
ウール系はアイロン面(底面)がワイシャツに触れないように、1cm程度浮かせてください。動かす速さは、綿・麻系と同じく10cmを約3秒が目安。
レーヨン・ポリエステル系は繊細で熱に弱いので、スチームを使わず、表面をサッと動かす感覚で。目安は10cmを約1秒になります。
ここでスタイリストならではの提案が。裾や袖口などをケアをする際、衣類スチーマーと衣類の端を引っ張る手が接近する場合があり、スチームに対する注意が必要になる。
大西 そこで私はミトンを使っています。熱い鍋などを持ったり、運んだりする際に活躍するものですから、万が一スチームがかかった場合も安心。手近になければ軍手でも、あるいはタオルを手に巻いても構いません。
そして大西さんが指摘したのが襟のシワ。
大西 とかく前身頃など〝前面〟の大きなシワだけをケアしがちですが、ワイシャツの場合は、むしろ襟をケアしていただきたいと思います。というのも襟は顔に近い部分ですから、着ている本人が考えている以上に相手の注意が向きますし、それだけ目立ってしまいます。
ですから他の部分のシワがとれていても、襟にシワがあると、全体的にパリッと決まった印象になりにくいのです。
やり方は他の部分と同じになりますが、ボタンダウンの場合はボタンを外してスチームをあててください。
写真左側が衣類スチーマーの使用後、右が使用前。前身頃のシワの有無に加え、大西さんが指摘したように、襟のケアが印象の決め手となることがわかる(※)。
※シワや衣類の素材によっても効果は異なります。
続いてはジャケットだ。ジャケットの場合、シワはもちろん、これから汗の季節を迎えるだけにニオイも気になるところ。「衣類スチーマー NI-FS750」であれば、生活5大臭(生乾き臭、ペット臭、タバコ臭、汗臭、飲食臭)に加え、加齢臭、防虫剤臭もしっかり脱臭できる(※)。
※パワフルスチームのみで10秒間使用した場合と、瞬間3倍パワフルスチーム1回とパワフルスチーム合計で10秒間使用した場合の脱臭効果比較において。タバコ臭・汗臭・飲食臭・加齢臭・防虫剤臭に有効。
大西 ジャケットは1日着ていれば、かなり汗を吸収していますので、まず脇と背中にたっぷりとスチームをあててください。さらに汗以外にも飲食臭やタバコ臭など、様々なニオイも付いていますので、全体をケアしていただきたいですね。
さらに大西さんによれば、衣類スチーマーを使って〝ハンガー跡〟も整えられるという。シーズン終わりにクリーニングに出して、そのままクローゼットに保管。次のシーズンに着ようとしたところ、ジャケットの肩の部分にハンガーの跡がついていた…。という場合の対処法だ。
大西 クリーニング店のハンガーは針金で細いため、上の写真のように跡がつきやすいのです。こんな跡も衣類スチーマーを使えば、とることができます。
大西 とはいえ、やり方は簡単。先ほど登場したミントを使い、気になる部分を平らにしてスチームをあてるだけ。ただし素材によってはテカる場合もあるので、アイロン面はあてないでください。
結果はこのとおり。このような衣類の型崩れをケアできることも衣類スチーマーの強みだ。
続いてはパンツだ。パンツの場合はシワに加え、クリース(折り目)もポイントとなる。シワだけでなく、これをクリアできるのも、フラットアイロン面でプレスもできる2WAY仕様の衣類スチーマーならでは。
さて実技を前に大西さんは、パンツの場合は使う〝場所〟が大切だ、と話す。
大西 パンツに使う際に注意することは、とにかく平らで、パンツ1本分が置けるスペースを確保することです。というのも、できたシワを一つづつケアしても〝まっすぐ感〟が出ないので、一気にケアすることが仕上げのコツになるからです。
ということで今日はアイロン台を用意したが、独身男性でアイロン台を持っている方は少ないのでは。
大西 たとえ手持ちのアイロン台あったとしても、朝の忙しい時間に準備するのは、それだけで手間になります。そこで、おすすめなのがテーブル。テーブルの上にバスタオルを敷けば、それで準備完了です。最近はアイロン用マットもあるので、これを使ってもいいですね。
大西 やり方は先ほどもお話したようにパンツを平らな場所に置き、パンツの端を軽く引っ張りながら、その方向へスチーマーを動かしていきます。こうすれば生地の上をアイロン面がスムースに移動していくので、よりきれいに仕上がります。
こうしてスタイリストならではの衣類スチーマーを使ったワイシャツ、ジャケット、パンツのケア法を見てきたわけだが、そのテクニックは大いに参考になったはず。ぜひ実践していただきたい。
ここからは「衣類スチーマー NI-FS750」の機能について、もう一度おさらいしておこう。
パナソニック
「衣類スチーマー NI-FS750」
本体サイズ/約幅80×高さ13o×長さ160mm、約740g
スチーム量/平均約11g/分
注水量/約100ml
スチーム噴出時間/連続約8分
アイロン面/フラット(セラミックコートベース)
消費電力/950W
本体カラー/-PN(ピンクゴールド)、-S(シルバー調)
オープン価格
まずNI-FS750の特徴として、タンク容量を従来モデル(※)の2倍に相当する約100mlにアップしたことが挙げられる。これによって連続約8分のスチーム噴出が可能になった。
併せてポンプ・電源部品を再配置することで、タンクの大型化に対応。
※同社従来品2018年発売NI-FS540(タンク容量約50 mL)との比較
タンクの大型化に伴い、本体形状も見直された。具体的には、本体高さを約20mm低くして、さらに重心の位置を本体の中心に近づける低重心化設計を採用。同社では本体のバランスを改善することで、腕への負担を抑えて使いやすさの向上を図った、と説明している。
立ち上がり時間は約24秒とスピーディー。忙しい朝でも気になるシワを手軽にケアできる。
また「瞬間3倍パワフルスチーム」機能も搭載。グリップ部のスチームボタンを押し続け、上下2つの動作ランプが点灯すれば準備完了。スチームボタンを2回連続で押すと、3倍パワフルスチームが約10秒間噴射される。
滑りのよいセラミックベースのフラットアイロン面。立ち上がりは通電ランプが赤点灯して約20秒後で、温度設定は約160度の中温となっている。
使い方のイメージ映像はこちらから。
https://www.youtube.com/watch?v=_kgWFisXxOU
撮影/末安善之