2019年、春。天皇陛下の退位によって、遂に「平成」が幕を閉じ、5月1日に新しい時代「令和」が始まった。これからの日々が「令和時代」を作っていくことになるわけだが、今回は平成が生まれのニュージェネレーションであり、新しい時代の中核を担っていくことになるであろう「ゆとり世代」にスポットライトを当ててみた。
そもそも「ゆとり教育」とは、それまでの「詰め込み教育」、つまり”当人たちの興味を無視した、機械的な暗記による知識量の増大”に重きを置いた教育から、調べ学習などを取り入れたゆとりを持った学習環境によって、”自ら考える力”を育むために始まった教育方針。その教育で育った「ゆとり世代」は、一般的には、1987年生まれから2004年生まれまでを指すとされている。
何かと悪い評価を下されることの多いゆとり世代だが、今回は「平成時代」の中核を担ってきたオジ様方々に、そんなゆとり世代について、ざっくばらんに語っていただく機会を設けた。その名も「オジ様×ゆとり座談会」。
それに際して集まっていただいたのは、ゆとり世代を部下に持つ40~50代のエンタメ業界男性3名(以下:Tさん、Hさん、Mさん)。対するゆとり世代からは、筆者を含む20代女性2名で参加した。世代が違うが故の苦労話から、あるあるネタ、はたまた驚くようなご意見まで…。愚痴だらけの会になるであろうと覚悟を決めて伺った筆者だったが、話が進むにつれて、その心構えはいつの間にか緩まって、前向きなものに変わっていた。
是非ご一読いただき、新しい時代の幕開けを祝し、明るい日本のこれからを思い描いていただければ幸いだ。
テーマ1「ゆとり世代はすぐに辞める?!~ルールを無視するゆとり世代~」
ゆとり世代2名(以下:1号、2号):本日はよろしくお願いいたします!
オジ様方:よろしくねー。
1号:では早速ですが…「ゆとり世代といえばこれ」というような特徴は何かありますか?
Tさん:これは皆さん感じていると思うんだけど、会社なり何なり、一度始めたことが続かない。
Hさん:分かる。気に入らなかったり、ここは自分の居場所じゃないって思ったりすると、すぐに辞める人が多い印象があるな。
Mさん:実際にあったのは、昨日まで来ていた子が突然来なくなっちゃったから、他の社員に「あの子最近どうしたの?」って聞いたら、「辞めましたよ。」って。すごく驚いた。いきなり辞めちゃうんだもんな。それが原因で、僕の会社では新入社員を取るのを辞めて、今は中途採用しか取っていない。
ゆとり1号,2号:・・・。
Hさん:2人は同じゆとり世代として、そういう人をどう思うの?
2号:あの…正直に言って私は、オジ様たちと同じように「ありえない」って思います。
1号:私も。「ゆとり世代」って一括りにされることが多いけど、中にはしっかり自分の考えを持って行動している人も、ちゃんといるよね?
Mさん:そうそう。あのね…。
テーマ2「二極化するゆとり世代―理想に走るか、殻を破れない?!」
Mさん:ゆとり世代の子たちと接していると、きちんと自分を持って働いているタイプと、自分の思い描く理想だけで突っ走るタイプとに極端に分かれているってすごく思うんだ。
Hさん:そう、分かるよ。しかも後者のタイプは状況に耐えるところまでも行き着いていないというか…。見切りをつけるのが早すぎると感じてしまう。長く続けなければどんな成果も得られないと思うんだけどな。
Mさん:ゆとり教育って自由度が高かったじゃない?それに対して僕たちは、良いか悪いかは別として「抑えられる教育」を受けてきた自覚があるから、すぐに辞めてしまうゆとり世代の子をみると、どうしても根性がないと思ってしまうよね。
Hさん:うん。でも僕たちは新入社員の子たちを、その道のプロフェッショナルにしなくちゃならないじゃない? 僕は仕事っていうのは一切甘えがあってはいけないと思っているから、部下をいかにプロに育て上げられるかを日々考えていて。一昔前は頭ごなしに教育して、一人前に育てるという方法が多かったけど、今は売り手市場だし、そうやってすぐに辞めてしまう子もいるから、教育するのにもすごく気を遣うんだよね…。教育の方法が難しい。
Tさん:そうだね。ゆとり世代の子たちとは、「この仕事で飯を食っていくんだろ?」っていう姿勢で接し続けていると、徐々に心が通じ合っていくかな。
1号:オジ様方の世代*1は若い頃から適応能力が高い世代だったとも言われていますしね…。
2号:世代として染み込んだ感覚を直すって難しい…。どうしたらいいんだろう…。
*1:1961年〜1970年生まれ(と定義されることが多い)世代は、20代の頃、「新人類世代」と呼ばれていた。大学入試で共通一次試験が始まった世代でもあるために、適応能力が高い傾向があるとも言われている。