2.人との繋がりを重視
スペインでは友人や家族との繋がりをとても大切にしています。
その象徴と言われるのが「シエスタ」です。「お昼の長い休憩時間」という意味の「シエスタ」。昼寝をしているイメージが強いですが、実はそれだけではありません。
昼食が「一日で一番重要な食事である」と考えられているスペインでは、家族と一緒にランチを楽しむことを重視しています。お母さんが作ってくれた食事を食べるために、わざわざ職場から家に戻り、家族と一緒に長い時間をかけて(2時間かけることもある)食事を楽しむこともあります。
ランチタイムである14時~16時の時間帯は、レストランやショッピングセンターを除く、多くのお店が家族でランチをするために店を閉めると言います。(都市部は観光エリアは除く)
スペイン人にとって、家族との絆を深める時間である「シエスタ」はとても重要な存在なのです。現在、シエスタ文化は衰退しつつありますが、「家族との絆を重視しているスペイン人」を表す分かりやすいエピソードではないでしょうか。
「人との絆が強いほど、健康に良い効果がある」という「ロゼト効果」や、「幸福で健康な人生を送るために一番大切なものは良い人間関係を築くこと」というハーバード大学の研究結果からも分かるように、人間が健康に、そして幸せに生きるためには「人との繋がり」は必要不可欠なのです。
3.整った医療システム
驚くべきことにスペインで病院に行った際にかかる医療費は基本的に無料です。病気やケガをした際、収入やステイタスなどに関係なく、誰もが等しく無料で治療を受けることができるのです。
もう少し詳しく説明すると、スペインには公立と私立の病院があり、公立の病院では住民登録がしてあれば、誰でも無料で診察を受ける事ができるのです。
無料で治療できるとあって、いつも混雑していたりと問題はあるようですが、質の高い医者に無料で治療してもらえることは嬉しいこと。
何かあったらすぐに病院に行く、症状が悪化する前に予防のため病院に行く、このような考え方が浸透していることも、スペイン人が健康的な理由の1つかもしれません。
私たち日本人に最も不足しているものは?
日本にはヘルシーで美味しい和食があり、医療制度もある程度整っています。スペインと比較し、最も私たち日本人に不足しているのは、「人との繋がり」だと私は考えます。
会社のデスクでパソコンやスマホを眺めながら10分でコンビニ弁当を食べたり、毎日残業をして家族や友達とのコミュニケーション時間を十分に取っていなかったりしていないでしょうか?
スペインの「シエスタ」文化を見習って、次の週末は家族と2時間ランチをするのも良いかもしれません。
文/小松佐保(Foody Style代表)
一橋大学経済学部卒業。日本&シンガポールのブランドコンサルに勤務した後、食領域に特化したマーケティングコンサルとして独立し、アメリカ・ボストンへ。
会社員時代に生活習慣の乱れが原因で体調を崩したこと、ボストニアンの心身共にヘルシーなライフスタイルに感化されたことで、「食×健康」に関心を抱くように。
現在は、ニューヨークの世界最大の栄養学校Institute for Integrative Nutritionでホリスティックヘルスを学びながら、食生活やライフスタイルを改善するための情報発信やイベント開催などを行っている。