医師がすすめるカラダにイイこと! 教えてDr倉田
春から単身赴任生活を始めた方もいるでしょう。
日本のロックバンド「UNICORN」が、1989年(平成元年)4月29日に発売した『大迷惑』(作詞:奥田民生)は、結婚後にマイホームを持ったのに、会社から3年2か月の単身赴任生活を命じられた、会社員の悲哀が歌詞の中で描かれています。
『大迷惑』の時代、辞令を受けた若者が今は、単身赴任の辞令を出す側になっていたり、自分自身も単身赴任中かもしれません。
単身赴任生活は、健康に悪い=『大迷惑』なのかどうかをご説明しましょう。
日本の単身赴任者数はどれ位?
単身赴任は「結婚して勤めている人が、仕事の都合で、配偶者や家族と同居せず、単身で勤務地に生活する」ことを指します。
1975年に22万6千人だった単身赴任者数は、2010年に72万6千人、2015年には75万人と右肩上がりで増えています(国勢調査より)。
次に単身赴任割合を見てみましょう。
夫(または妻)が単身赴任者となると、同時に妻(または夫)も単身世帯となるので、単身赴任者が二重計上されています。海外に単身で赴任している人は計上されていませんし、女性で単身赴任される方もいます。
20年前と比べて、単身赴任者は増えていると考えて良いでしょう。
亭主元気で留守が良いは本当にいいの?
「夫は元気に仕事をして、お給料を持ってくれば、家庭にいなくても良い」というニュアンスで「亭主元気で留守が良い」という言葉がよく使われます。
携帯電話、メールやSNSなど通信手段が発達し、非常に便利な世の中になっていても、子どもの教育問題や親の介護問題など、Face to Faceのコミュニケーションが取りづらい単身赴任は、本人だけでなく家族にとっても、ストレスが生じやすい環境です。
単身赴任者がなりやすい病気ってあるの?
単身赴任と病気がどれほど関係するかの研究はとても少ないです。
広島県の企業従業員(男性1570名<単身赴任者217名、家族同居者1353名>)を対象にした調査研究(2004年)が興味深く、皆さんのお役に立ちそうなのでご紹介します。
この研究では「肥満、高脂血症、高血糖、高血圧」の4つを調査しています。
肥満、高脂血症、高血糖に関しては、家族同居者と単身赴任者で明らかな差はありませんでした。
高血圧は、30歳代、40歳代、50歳代で、単身赴任者に多いことが分かります。
単身赴任者は、特に高血圧に注意しなくてはなりませんね。