国鉄時代から大阪、京都、神戸を中心にしたエリアでは、スピードやサービス、料金を巡って国鉄と私鉄が激しい競争を繰り広げてきた。今でもJRと私鉄のサービス合戦は続いている。
ここでは、ライバルに負けじと競い合い、磨き上げられた関西私鉄の至極の車両をご紹介したい。
近畿日本鉄道 青のシンフォニー
桜の名所吉野と大阪阿倍野橋を結ぶ近鉄南大阪線を走る「青のシンフォニー」は、伊勢志摩への特急「しまかぜ」に次ぐ近鉄自慢のラグジュアリー特急だ。濃紺色のボディとゴールドラインがエレガンスな雰囲気を演出。駅停車中にはクラシックBGMで乗客を歓迎する。車内も従来の特急とは全く異なる、ホテルのロビーや応接室を彷彿とさせる上質な空間が広がる。特急券のほか、わずか210円の特別車両料金を追加するだけで乗車できる。
2号車にあるラウンジ車両では沿線のお土産や名産を味わうことができる。特にこだわりのケーキセットは季節によってメニューが変わり大人気だ。その他、奈良の地酒飲み比べセットなども楽しめる。
近畿日本鉄道 観光特急しまかぜ
誕生以来、大人気を誇るのがこの観光特急「しまかぜ」だ。近鉄がこれまでの国内特急車両の概念を覆す発想で設計されたこの列車は、全席が革張りのプレミアムシートで構成され、最前部は展望車両、2種類の個室やグループに嬉しいサロン席、軽食が楽しめるカフェ車両など、最上のもてなしが楽しめる。そして驚きなのが価格。なんと通常の特急料金に最長区間でも1130円追加するだけで「しまかぜ」に乗車できるのだ。(個室はさらに1030円)
2階建て車両のカフェ車両では沿線の名品が集められている。軽食類も充実しており、写真の海の幸ピラフや松阪牛カレー、にゅう麺など、流れ行く車窓を眺めながら食堂車のようなひと時を満喫することができる。
泉北高速鉄道 泉北ライナー
大阪圏のベットタウンである泉北高速鉄道沿線と難波を直通し、より「選ばれる沿線」となるべく誕生したのが泉北ライナーだ。平日、土休日ともに通勤にレジャー、そして帰宅時に便利なダイヤ構成となっており、朝方と夕方〜夜間のみの運転となっている。特殊な素材を使用して窓の部分まで覆い、車両全体が黄金に輝いている。色違いのリクライニングシートが並ぶ車内には、「プラズマクラスター」まで装備。空気に至るまで快適だ。
車体が金ピカなら車内ももちろん金ピカ!といってもデッキの部分だけで、客室内は落ち着いた車内なのでご安心を。車体外の窓部分の金色は車内からは透けて見える素材でできているので車内も普通に明るい。
京都丹後鉄道 丹後の海(まいづる・はしだて)
従来から活躍していた特急車両を「海の京都」をイメージに大幅にリニューアルした京都丹後鉄道「丹後の海」は、同路線で他列車のデザインも担当している水戸岡鋭治氏によって誕生した。JR山陰本線に乗り入れ、特急「まいづる」・「はしだて」などで活躍中だ。JR車両も同区間で走行しているが、そちらは通常の特急車両なので時間帯が合うのであれば「丹後の海」で運転される列車を選ぼう。料金はどの列車でも変わらない。
木材をふんだんに使う水戸岡氏らしく、天井と壁には白樺、床にはナラ、座席には楓と異なる木材を使用。運転室後ろには気分転換に最適なフリースペースも設置。前面展望も楽しめる。
撮影・取材・文/村上悠太
※画像の無断転載を禁じます
※データは2018年12月現在です