■連載/ゴン川野のPC Audio Lab
独自の高域を奏でるAMTドライバー採用
オーブラボーは台湾のヘッドホン&イヤホンメーカーである。創立者であり設計者のDavid Teng氏はAMT(Air-Motion Transformer)に魅せられた男だ。同社のイヤホンはこのAMTとダイナミック型を使ったハイブリッドモデルが中心になっている。通常、ハイブリッド型イヤホンのツイーターに使われるのはBA型だが、AMTドライバーを小型化する技術を持つオーブラボーのみが、AMTを採用したイヤホンとヘッドホンを製品化している。
BA型ドライバーが補聴器から進化したものに対して、AMTはもともとオーディオ用のスピーカーのために開発された。平面振動板のリボン型ツイーターを発展させたもので、非常に薄い振動板がプリーツ状に折りたたまれており、空気を圧縮して素早く動かすことでハイスピードな音が再生できる。高域は45kHzまで伸びているので、難なくハイレゾ対応している。David Teng氏は研究者肌でいろいろな素材をハウジング、ノズル、フェイスプレートに組み合わせたモデルを精力的に製品化している。
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●アカシア、銅、セラミックの異素材を組み合わせた
今回、試聴したのは最新のRA(ラー)シリーズと呼ばれる製品群で、新世代のAMTドライバー「AMT-II」を搭載している。その中のハイエンドモデルにあたる『RA SOL』(太陽の神)を借用した。ハウジングは銅製で無垢の塊から削り出している。ノズルは精密セラミック、精度測定と検査を繰り返し、サウンドの調整や調律がなされる受注生産モデルで価格は112万円。ツイーターはφ8mmのAMT、ウーハーφ16mmのダイナミック型のハイブリッド構成。インピーダンス182Ω、能率93dB、周波数帯域15Hz〜45kHz。重さ7.6gとなる。
小型のモバイル用ケースは革帯でイヤホンを固定して、木製のリールにケーブルを巻き付けて収納する。
イヤーチップはシリコン製とコンプライが付属する。ケーブルはアンバランスタイプ。
ハウジングは銅製でノズルはセラミック製、この組み合わせが絶妙な音を再生する。
ケーブル端子はMMCX端子だが独自のキリカキがあるため専用品しか接続できない。