車検は? 寝心地は? ルーフテントの気になること
ルーフテントを見ていると、その種類とクルマの相性以外にも気になること、いくつかの疑問が生じる。引き続き、ジファージャパンの飯田さんに聞いてみた。
コンパクトカーへの取り付け
オートホームのイベントでは、メルセデスのスマートに取り付けられないか相談に来た人がいる。コンパクトカーでも取り付けられるのだろうか? 飯田さんに聞いてみたところ「オートホームの場合は、ベースキャリアの間隔が70cm以上を確保でき、車体からはみ出ないサイズのルーフテントがあれば加工不要で取り付けできる」とのことで、軽自動車への取り付け実績もある。
ジファージャパンほかいくつかルーフテントを扱う会社があるので、クルマの車種と最大積載量、手持ちのベースキャリアの耐荷重を確認し、ほしいルーフテントメーカーに相談するのが確実だ。
メンテナンス
ルーフテントのメンテナンスについては使用生地によって考え方が異なる。
たとえばオートホームのマジョリーナとエアトップに使っているのはコットンのような風合いの化繊「ドイツ・バイエル社製 ドラロン」で、この生地は水分を含むと繊維が膨張することで水の浸入を防ぐ。防水性を高めるためにはっ水剤を塗布すると、通気性が損なわれるのではっ水剤は不要と考えているそうだ。
もちろん、キャンプ用テントと同じように定期的にはっ水剤の塗布やシームテープの交換が必要とするものもある。目当てのルーフテントが決まったら、生地の素材やメンテナンス方法も確認が必要だ。
寝心地
地面のデコボコを感じずにすむのが最大のメリット。キャンプ用テントに比べて外気温の影響を受けやすそうに思えるが、地面からの冷えを感じないので冬期でも眠れるのだ。メッシュを多用するものであれば、熱気もスムーズに排出できる。ただし、高い位置にあることもあり、風によるバタツキ音は大きめ。また、寝返りなど同乗者が動くと揺れを感じやすいし、雨の日の出入りはどうしても濡れてしまう。雨の多い日本では、オプションのオーニングを装着したいところ。
車検
ルーフテントを載せたままで車検は通るのだろうか? 飯田さん自身はこれまで車検が通らなかったという経験はないそうだが、地域によっては不合格となる場合があるとのこと。その他販売店やメーカーでも、購入時に問い合わせておきたい項目だ。
立体駐車場
立体駐車場は、機械式だと全高1.55m以下、自走式なら全高2〜2.2m以下とするケースが多い。
ルーフテントの収納時の高さは30cm前後。ベースキャリア+ルーフテント(約30cm)分、高くなるのでルーフテントを取り付けると機械式はまず無理だ。自走式なら全高1.5m以下のクルマであればギリギリ。
なかには25cm程度の薄型ルーフテントを用意しているブランドがあるので、自宅マンションが立体駐車場なら一考の価値がある。
寿命
素材や使用頻度、使用環境など条件によって異なり、一概には言えない。
「これまで日本で20年間ルーフテントを取り扱っていますが、マットの買い換えや生地の不具合などのクレームはありません。ただ、雪国で20年ほど使っていただいた製品のヒンジを交換したいというお客さまがいましたが、モデルチェンジしていたためパーツがなくなっていました。代替パーツもない状態になったら買い換え時でしょう」(飯田さん)。
若いブランドの場合は、保障制度の確認も忘れずに。
ルーフテントへの注目度が高まり、手に入るブランドが増えているし新機能をうたうルーフテントも多い。長いつきあいとなるルーフテントだから、愛車との相性や譲れない点を知り、納得のいくものを選びたい。
取材・文/大森弘恵