「育児休暇」「育休」などの通称で知られる「育児休業」。子育てに専念するため、パパ・ママが一定期間仕事を休むことができる画期的な制度です。
育休は父親・母親のいずれも取ることができますが、取得のためには条件があります。条件や申請方法などの基礎知識を知っておくことで、スムーズに育休に入ることができるでしょう。
育児休暇を取るための条件は?
育児休業を取るための条件は、以下の通り。
■原則1歳に満たない子を養育する男女労働者
■同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
■子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
なお、法律上の「子」であれば、実子/養子を問わず育休を取ることができます。また、上記の条件さえ満たせば、パートなど非正規社員の方でも育休の取得は可能です。
【参考】育児休業制度/育児休業の対象となる労働者(厚生労働省)
育児休業の期間はいつまで?
前述した通り育休は原則、子供が「1歳になる前日まで」取得できます。ただし、育休は「2歳になるまで」延長することも可能。詳しくは後ほどご紹介します。
育休の期間は男性と女性で異なる?
育休の期間は男女ともに同じ。ただし、女性は育休とは別に産休を取ることができるため、そのぶん仕事を休む期間は長くなります。
産休は、「産前休業」が出産予定日の6週間(双子以上の場合は14週間)、「産後休業」が出産翌日から8週間取ることができます。
育休取得期間の平均は?
厚生労働省が発表した「平成27年度雇用均等基本調査」の「取得期間別育児休業後復職者割合」によると、平成26年4月1日~平成27年3月31日の間に育休を終了し復職した女性の育児休業期間は、「10か月~12か月未満」が 31.1%と最も多く、「12か月~18か月未満」27.6%、「8か月~10か月未満」12.7%と続きます。
男性は「5日未満」が56.9%と最も多く、「5日~2週間未満」が17.8%、「1か月未満」が12.1%、「2週間~1か月未満」が8.4%と続きます。
ただし、平成29年10月1日に改正育児・介護休業法が施行され、育休の最長期間が変わっていますので、現在は平均も大きく変わっている可能性があります。
【参考】「平成27年度雇用均等基本調査」(厚生労働省)※P.12
育児休暇の期間を計算してくれるサイト
条件を入力すれば、育休や産休の期間を自動で計算してくれるサイトも多数。以下で紹介しているサイトなどがおすすめです。
【参考】あなたの産休・育休の期間と金額を自動計算します。(社会保険労務士法人アールワン)
育児休業の期間が3年という説も!?
「育休の期間は3年だった気がするけど……」という方もいると思います。確かに公務員の場合、育休は最大3年取ることができます。
また、民間でも企業によっては2歳を超えても育休が取れるところも。厚生労働省「平成29年度雇用均等基本調査」によると、最長育児休業期間は「2歳~3歳未満」という事業所が9.2%、「3歳以上」が2.3%という結果になっています。
なお、2013年に安倍晋三首相が「育休3年」という成長戦略を掲げて当時話題になりました。しかし、この戦略はいまだ実現していません。
【参考】平成29年度雇用均等基本調査(厚生労働省) ※P.15
産休や育休を申請する際の手続き方法は?
産休や育休を申請する際には、以下のポイントを覚えておくと良いでしょう。
■妊娠報告は早めに
■産休の届け出は会社ごとに異なる
■育休の届け出は開始予定日の1か月前まで(出産が早まったなど特別な理由があれば1週間前まで)
妊娠すると、つわりがひどくなった時や妊婦健康診査の受診などで欠勤が増える可能性があります。その際に会社の理解を得られるよう、妊娠報告は早めに行ったほうが良いかと思います。まず上司にだけ伝えて、安定期に入るまでは同僚に伏せておくというのも良いと思います。
産休の申請方法は会社ごとに異なるため、人事部に確認を。会社によっては書式が用意されておらず、自分で作成する場合もあります。
育休に関しては、「育児休業申出書」を勤め先の人事部に提出します。また、育休は延長も可能ですが(詳細は後述)、その際は改めて手続きが必要です。
【参考】育児・介護休業等に関する規則の規定例(厚生労働省)※P.8参照
産休・育休に関する手続きの一覧表
厚生労働省は、産休・育休に関する手続きリストを作成しています。こちらは無料でダウンロード可能で、提出書類や提出先などが一目でわかるので、とても便利。ぜひ活用しましょう。
【参考】産休、育休の届け出・手続き管理表(厚生労働省)※アクセスするとExcelがダウンロードされます
産休・育休の手続きは会社が行ってくれる?
一部の手続きは会社が行うものもありますが、ご自身で行わなければいけない手続きも多数。産休・育休の手続き、そして給付金などの申請も同様です。
産休・育休の手続きはスケジュールに余裕を持って行おう
出産直前~出産後はバタバタしてしまうため、手続きどころではなくなってしまう可能性があります。余裕があるうちに手続きの方法を確認して、不明点があれば勤め先に尋ねましょう。できる限り準備を済ませておくことで、スムーズに産休・育休に入ることができます。