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人気が高まっている「紅麹サプリ」で肝障害、アメリカで症例報告

2019.04.11

人気の紅麹サプリで肝障害に、米症例報告

自然な形でコレステロールを下げることができると考え紅麹サプリメントを摂取したある女性が、急性肝障害を発症した。

「BMJ Case Reports」3月25日オンライン版に掲載された米ヘンリー・フォード・ヘルスシステムのLize Loubser氏らの報告書によれば、この女性の急性肝障害は紅麹サプリメントの摂取により誘発されたものと考えられたという。

紅麹サプリメントは、蒸した米に紅麹菌を混ぜて発酵させた紅麹から作られ、脂質低下薬のスタチンの代わりに使用されることが多い。

今回、Loubser氏らが報告した64歳の女性は、処方されたスタチンの副作用を心配して、代わりに1,200mgの紅麹サプリメントを毎日1回、6週間にわたって服用していた。

女性は入院する2週間前から疲れやすくなり、むくみも見られるようになっていた。また、尿の色は普段よりも濃くなった一方で便の色は薄くなり、肌や白目が黄色っぽくなる黄疸症状も見られ、肝障害の徴候が現れていた。

しかし、肝疾患や輸血の既往はなく、周囲に疾患を抱えている人や最近の渡航歴がある人もいなかった。

そのほか、貧血のためビタミンB12の注射を受けていた以外に、薬剤は服用していなかった。喫煙の習慣はなく、飲酒も多くて赤ワインを一晩にグラスで2杯飲む程度で、活動的な生活を送っていた。

Loubser氏らが女性の肝臓を検査した結果、薬物性肝障害であることが明らかになった。飲酒も原因として考えられたが、肝障害が突然発症したことから、医師らは紅麹が原因だと確信した。

女性はステロイド薬による治療を受け、退院後も毎週、肝機能検査が行われた。同氏らによれば、これまでにも紅麹による重篤な肝障害の発症例が報告されており、回復するまで数カ月を要するケースもあったという。

また、Loubser氏らによると、紅麹にはスタチンと同様、コレステロールを低下させる「モナコリンK」と呼ばれる活性成分が含まれているという。

この成分は肝障害をもたらす可能性もあり、それがスタチンのように合成的に誘導されたものなのか、紅麹のように自然由来なものなのかは肝障害の発症には関係ないとされる。

ただ、同氏は「紅麹のモナコリンKの含有量は測定されていないか、規制されていないため、製品によって大きなばらつきがある可能性がある」と語る。

その上で、Loubser氏は「当然のことだが、多くの人は副作用を心配して処方薬の使用に慎重になることが多い。

しかし、自然由来のサプリメントだからといって、必ずしも安全とは限らないことも認識しておくべきだ」と指摘している。

さらに、同氏は「サプリメントを使用する際には、事前に情報を収集してほしい。また、サプリメントの有効成分の含有量は不明な場合があることも知っておく必要がある」と説明している。

今回の報告を受け、米国心臓協会(AHA)のスポークスパーソンで米ミネソタ大学公衆衛生学教授のRussell Luepker氏も「薬剤と似た作用を持つサプリメントが安全とは限らない」と話す。

同氏は、紅麹などのサプリメントはスタチンよりも安価で、処方箋も必要ないため、実際に使用している人は多いのではとの見方を示している。

しかし、「サプリメントは医薬品のような規制下にないため、消費者はその安全性を把握しにくい」と指摘している。

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://casereports.bmj.com/content/12/3/e227961

構成/編集部

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