田舎に自宅。都心に2拠点目の逆バージョンも
ここまで2拠点生活というと、都市部に自宅があり、ふだんはそこから職場に通い、週末などの休みに田舎の2拠点目へ行くというイメージが強い。が、その逆バージョンも生まれている。自宅は田舎にあり、2拠点目を都市部にもつ。ふだんは2拠点目から都市部にある職場に通うのである。
東京・浅草でホステル・リトルジャパンを運営する柚木理雄さんは、そんな逆デュアラーを応援するひとり。定額制で提携先のホステルに泊まり放題のサービス「Hostel Life」を始めた。月額は1万5000円から。たとえば東京なら、ホステル・リトルジャパンやプラネタイズ・ホステルなどに定額で泊まり放題になる。部屋の多くがドミトリー方式で、バス・トイレは共同ということで、この価格が可能なのだろう。
「日本の都市部は土地も家も高すぎる。ならばはじめから田舎に家を持てばいい。しかし職場は都市部にあり、毎日、通勤時間2〜3時間もかかるのはきつい。そこで、仕事する日は2拠点目という発想に逆転すればいい」(柚木さん)という考え方だ。
旅暮らしが好きな人、ドミトリー方式に抵抗感のない人なら、便利に使える上、ドミトリー仲間もできて楽しいホステル・ライフが送れるだろう。
リトルジャパン代表の柚木さんが提案するシェアハウス×ホステルの暮らし。都市部のホステルと田舎のシェアハウスを組み合わせれば住居費用が安上がり。浮いたお金で自分の好きなことを!
そもそも日本は地価と家がバカ高い。それがビジネスマンたちがローンに追われ、仕事に追われてしまうことになる大要因だ。地方では空き屋問題が深刻になる一方、都市部ではまだ家は高い。住む場所にかける金をどう減らすか。減らしても問題ない、むしろ充実した人生を送る方法はどれか。その試行錯誤をデュアラーたちが始めているのである。
先のリクルートの実態調査によると、現在、2拠点生活を実施しているデュアラーは全国で1.3%に過ぎないが、将来2拠点生活をしたいかという問いに対しては約14%が「したい」と回答している。東京や神奈川、大阪など都市部に、その意向は高い。住まいにお金をかけなくても充実した人生を楽しむデュアラーに向けた市場は活性化していくだろう。そしてデュアラーといわずトリプルライフのトリプラー、クワドラブルライフのクワドラー(?)と、複数拠点を使いこなすデュアラー上級者が生まれてくるのではないだろうか。
取材・文/佐藤恵菜