学費をサポートしてくれる奨学金制度は、平成28年度の段階で“2.7人に1人”の割合で利用している。進学を予定している人や子供がいる人は、奨学金制度の利用を検討している人も多いのではないだろうか。この記事では、そんな奨学金の「もらえる金額」や「返済する金額」の実態について、この記事で解説していこう。
奨学金の貸与金額の平均はいくら?
貸与平均額は、日本学生支援機構が毎年公表している。平成29年3月に貸与が終了した奨学生の、1人あたりの貸与平均額は以下の通りだ。
■第一種奨学金…241万円
■第二種奨学金…343万円
【参考】奨学金事業への理解を深めていただくために(日本学生支援機構)
奨学金の貸与金額を確認する方法は?
貸与金額は、その奨学金の種類や専攻課程によって変わってくる。下記のサイトで確認しよう。
【関連記事】覚えておきたい返済不要な奨学金「給付型」の種類と条件
奨学金の最高月額は?
最高月額は、第二種奨学金の“法科大学院の法学を履修する課程の場合”の月額15万円(それに4万または7万円の増額が可能)になる。
奨学金の種類ってどれくらいあるの?
奨学金の種類は、大きく「貸与型」と「給付型」に分けられる。
[貸与型]
返済が必要な奨学金。第一種と第二種に分かれており、第一種は利息なしで返済できるが、第二種は返済時に利息がついてしまう。
[給付型]
返済が不要な奨学金。
民間の奨学金にも種類はあるの?
民間の奨学金は、「一般・公益財団法人の奨学金」「自治体の奨学金制度」「企業の奨学金制度」「学校で行っている奨学金制度」などがある。給付型か貸与型かは、その団体に決まり、応募条件なども異なってくる。
奨学金を借りられる条件って?
日本学生支援機構で奨学金を受ける場合、条件はその種類によって異なる。貸与型の場合、「予約採用」と「在学採用」でも条件が変わってくるので、注意しよう。
【参考】貸与型奨学金の採用基準(日本学生支援機構 公式サイト)
奨学金がもらえない家計年収は?
日本学生支援機構で奨学金を受ける際、第一種・第二種のほかに、予約採用・在学採用でも年収の基準が異なってくる。公式サイトで確認しよう。
給付型は、第一種の家計基準を満たすと共に、「住民税非課税世帯・生活保護受給世帯・社会的養護を必要とする人」のいずれかの条件に該当する人が対象となる。
奨学金の金額変更ってできるの?
第一種・第二種奨学金は、貸与中に月額を変更することができる。学校の担当者から「奨学金貸与月額変更願(届)」をもらい、必要事項を記入して学校に提出しよう。
変更後の奨学金の金額確認方法は?
変更後の金額は「スカラット・パーソナル」か、毎年12月から2月頃に学校から交付される「貸与額通知書」で確認ができる。
奨学金の金額変更を行う理由って?
第一種は、自宅からの通学か自宅以外からの通学かで月額が変わってくる。通学の形態が変更した時は、速やかな連絡と手続きが必要だ。そのほかに、本人の意志で低い月額に変更可能。第二種は、学校生活をしていく上で必要だと判断された場合に限り、月額が減額できる。
奨学金を返済する時の金額はどう決まるの?
奨学金の月々の返済金額は、借りた総額と割賦方法によって決まってくる。割賦方法の種類は、下記のとおり。
[月賦返還]
毎月定額で返済額が引き落とされる方法。
[月賦・半年賦併用返還]
返還総額の半分は毎月定額で返し、もう半分は半年に1回(1月・7月)毎月の返済額に上乗せして返済する方法。
[所得連動返還方式]
第一種のみ選択可能。前年の所得に応じて、その年の毎月の返済額が決定する。返済額の見直しは、毎年行われる。
奨学金の返済金額を確認したい時は?
奨学金の返済金額は、「スカラット・パーソナル」と「貸与通知書」で確認できる。
奨学金の利率はどう決まるの?
奨学金の利率は、自身が選択した算定方式と、その年に設定された利率によって変わってくる。
【参考】
奨学金の利率は固定?変動?
奨学金の利率が固定か変動かは、算定方式によって変わってくる。
[利率固定方式]
返済完了まで、利率が固定される。
[利率見直し方式]
返済中、およそ5年毎に利率が見直され、変動する。
奨学金の利率の算定方法は、いつ選択するの?
利率の算定方法は、第二種奨学金を申し込む時に選択できる。変更したい場合は、貸与が終了する月の一定期間前までに“第二種奨学金「利率の算定方法」変更届”を学校に提出すること。
利率を含めて計算した、奨学金の返済額を知りたい!
利率を含めた実際の返済額を知りたいときは、日本学生支援機構の「奨学金貸与・返還シミュレーション」を使おう。項目を記入することで、おおよその返済額が計算できる。
【参考】奨学金貸与・返還シミュレーション(日本学生支援機構 公式サイト)
奨学金の返済金額は変更できるの?
災害・傷病・その他の経済的理由で月々の返済が厳しくなった時は、「減額返還制度」を申請できる。これは一定期間月々の返済額を減額できる制度だが、返済総額が変わるわけではないので、そのぶん返済期間も延びてしまう。
奨学金を返済中、多めに返したいときは金額変更できるの?
奨学金は、全額または一部をまとめて返済することができる。申込み方法は、以下のとおり。
■スカラット・パーソナルで手続き
■奨学金返還相談センターに連絡
■「繰上返還申込書」をFAXか郵送で日本学生支援機構に送付
現状はこのようになっているが、日本学生支援機構の奨学金制度は、2020年春に見直される予定だ。給付型とともに、貸与型の仕組みも見直すという方針を、財務省と文部科学省が発表している。今後さらに制度が変更される可能性があるので、奨学金の方針については注目していきたいところだ。
文/ねこリセット