なかなか具体的な利用方法がイメージしにくいブロックチェーンですが、わかりやすい一例となるのが、ブロックチェーンスマホ「FINNEY(SIRIN LABS)」です。これはビットコインなどの暗号資産を保管するための「コールドウォレット」を備えたスマートフォン。Androidベースの独自OSで動作し、一見すると一般的なスマートフォンと同じように見えます。しかしFINNYには、暗号資産を管理するために必要な高い堅牢性があります。暗号資産を利用するユーザーや、ブロックチェーンを使って実装したDAppsというアプリケーションを利用するユーザーのニーズに応えるべく登場した次世代のスマートフォンなのです。今回じっくり使いこんでみたので、早速レビューしていきます。
SIRIN LABが開発したFINNY。海外では2018年11月28日(日本時間)に発売し、日本では2019年1月29日から販売が始まりました。
物理コールドウォレット × 独自OSの堅牢性で暗号資産をしっかり守る
FINNYにはどのような堅牢性があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。まず暗号資産を保管しておくのに必要なコールドウォレット機能が、スマホ本体とは独立して存在しています。
コールドウォレットとはネットと完全に切り離されたウォレットのことを指します。ネット経由の不正アクセスなどに対しての安全性は高いですが、物理的に保管しておく必要があるため、現実の窃盗や紛失に弱い面があります。一方、ホットウォレットはインターネットを通じて仮想通貨の操作を行うことができるタイプのウォレットを言います。ネットに接続されているため、不正アクセスの標的になることもありますが、リアルタイムで送金を行う必要があるサービスでは、仮想通貨の利便性を損ねないのが特徴です。
ちなみに、コールドウォレットの種類としては、秘密鍵を紙に書き記した「ペーパーウォレット」、金属やコイン、または安全な専用デバイスなどで秘密鍵を管理する「ハードウェアウォレット」があります。
本体上部の背面にあるサブディスプレイをスライドすると、コールドウォレットがオンになり、このときだけ暗号資産の出し入れができるようになります。オフの状態ではインターネット接続もスマホ本体との接続もできなくなっています。そのためウォレットをハッキングしようにも接続できないという状態になり、保存した暗号資産を守ることができます。
スマホ本体のOSはAndroidをベースとした独自OS「SIRIN OS」を使用しています。操作性はAndroidスマートフォンと同じながら、暗号資産を安全に保管できるようにセキュリティ性能を意識した設計になっています。しかし、見た目はAndroidなので、スマホとして使う場合に、セキュリティ性能を確保するための特別な操作は不要です。
本体背面上部がスライド式のディスプレイとなっていて、引き上げるとコールドウォレットが起動して画面が表示されます。ここに送金用のQRコードなどが表示されます。また起動にはパスワードが必要です。
コールドウォレットのほかに、常時インターネットに接続するホットウォレットもインストールされています。このアプリで暗号資産同士を交換する機能が利用できます。
分散型アプリケーションを利用するためのマーケット機能アプリ「dCENTER」では、ブロックチェーンアプリ(DApps)の他、「Learn&Earn」として学習するとインセンティブの暗号資産がもらえる機能があります。
独自OS「SIRIN OS」のベースはAndroidが使われています。画面のように他のAndroidスマホと同じユーザー・インターフェイスで操作できます。