玉の滴の正体が手に取るように今わかる!!
5分ほど焼かれ続けていると(暖まるというより、本当に焼かれるという表現に近い)、
「あ〜これぞ本当の汗だ!!」
っていうのがドクンドクンと湧き出てくる。汗だと思っていた結露と違って、なにややドロッとした感じで噴出してくる。
明らかに湿度高めのサウナで早々と出てくる汗らしき滴とは違うものが出てくる!!
中温中湿のサウナの最初の汗らしき滴は、汗じゃなくて結露ってことを実感したいならば、ぜひこのサウナにはいってみるといい。
しかしワタシャ、そんなことを実感するためだけにこのサウナに来たワケじゃない。これぞ本物という汗を吹き出しながら『人間交差点』を読む。いあ〜面白いわ、人間交差点! ついつい読み入ってると、早くも5分計と思われる砂時計は2回転していたので、さすがにこのサウナは10分が限度だわ、と思ってサウナ室から出る。
若干フラフラしながら渡り廊下を歩き浴室内に入り水風呂に浸かれば、この水風呂がまた銭湯にしてはかなり攻めこんだ15度設定! こりゃゃあぁぁ気持ち良すぎる。おもわず「ウォォォォォ!」って声出そうになったんだけどら、水風呂のすぐ横に、
「ご近所の迷惑になりますので奇声を発しないでください」
という注意書き……続出しちゃったんだろうな〜あまりの気持ちよさに奇声発しちゃった皆さんが。わかるわかる、発したくなる気持ちはよくわかる。それも一つの人間交差点というヤツである! しかし、そこは注意を守ってグッと心の奥に奇声を閉じ込める。
そして3セット。たまらないにもほどがある“シビレにシビレた”悦楽のサウナであった。シャンプーとボディソープも置いてあるという、銭湯としての基本ラインも素晴らしい。
唯一気をつけたいのは、浴室と渡り廊下の間にあるドア。このドアがちょっと建て付けが悪くって、ついつい開けっぱなしにしてしまうことが多かった。なにしろサウナから出た時は、若干フラフラ気味になってて注意力が落ちてるからね、ここまで強烈なサウナだと。
この銭湯の近くには、なかなか味のある角打ちの酒屋があったりして、その話は@DIMEの別連載『秘境酒場』に書いたんだけど、この『Tの湯』とその酒屋のリレーはこれから何度も通いたいなぁ〜と今、心から思っている。
その時はドアの閉め忘れを気をつけないとな。あと『人間交差点』の読んでない残りも気になってるし。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。