飲まなくてもお茶の味わいが口に広がる!?
「荒茶」という商品になる前の「素材」のようなお茶があります。
茶商と呼ばれる人達はこの「荒茶」を買い付け、ブレンドしたり、火入れなどの加工をして、理想の商品に仕上げる人のこと。
「こういうお茶を作ってください」と言われたら、頭の中でピピピと計算。
あれとあれをブレンドして、こういう加工したらこういう味になる!とそこまで考えられてしまう人達。
いわば、お茶の魔法使いです。
今回お話を伺った茶商の方も、お茶を飲むことなく、見ただけで「こう加工したらおいしくなる」とか「これとこれをブレンドしたらこういうお茶になる」ということがわかるそう。
「荒茶」は新茶の季節になると「茶市場」と呼ばれる場所に集まってきます。
「お魚」で言えば、築地市場みたいな場所でしょうか。
初取引が始まる4月下旬~およそ一か月の間、茶商達はこの茶市場に毎朝早くから出かけ、理想の茶葉を買い付けていきます。
摘んだばかりのお茶の葉を瞬時に見極め、値段交渉し、購入する。
1年の中でも1、2位を争うまさに勝負の時間です。
時には、お茶の葉をポンと見せられて、100万円以上の買い物をするかしないかを一瞬で決めなくてはいけない時も…。
戦いとは無縁のように思えるお茶の世界。
しかし、おいしいお茶を作る舞台裏には様々な人達の熱い想いと戦いの日々が存在しています。
茶商・茶師と呼ばれるプロフェッショナルの存在が、より多くの人に知られていく日も近いかもしれません。
何気なく毎日飲んでいるお茶も様々な人達の技術や知識の賜物…なんて思うと、より一層、大切に飲みたくなりますね。
文/茂木雅世(もき まさよ)
ティーエッセイスト/煎茶道 東阿部流師範/日本茶アーティスト
お茶好きがで高じて、2009年、仕事を辞めてお茶の世界へ。2010年よりギャラリーやお店にて急須で淹れるお茶をふるまい始め、現在はお茶にまつわるモノ・コトの企画・商品プロデュース・コラム執筆やメディア出演などの活動を行っている。FMyokohama「NIPPON CHA茶CHA」では最新のお茶情報を毎週発信中。
オフィシャルサイト:https://ocharock.amebaownd.com/
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