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全身麻酔で行なう手術、実は日本が世界一早かったってホント?

2019.04.02

医師がすすめるカラダにイイこと!教えてDr倉田

 最近、将来を嘱望されるスポーツ選手や芸能人が病気を自ら告白し、治療に関心が高まり、数多くの応援や支援の輪が広がっています。「手術や病気の説明」に関する報道や特集が多い中、手術を受ける際に重要となる「麻酔(特に全身麻酔)」についてご説明をします。

“麻酔”とは何か!?

 歯科治療や傷を縫う時に麻酔をすることから、「麻酔=痛みを取る(和らげる)」のイメージがありませんか?

 麻酔は、「手術や治療・処置などの激しいストレス下の患者の生命維持に直結する呼吸・循環・体液・代謝の異常と過剰な生命反応の修復と制御」と定義されています。

 もう少し分かりやすい言葉を使うと

「(1)手術の侵襲(身体を傷つけること)から患者を守ること(2)手術を安全に行うこと」

 これら2点が麻酔の目的です。

 もし麻酔をしなければ、痛みで患者は動き出し適切な処置が出来ず、術者や患者がメスなどの医療器具でケガをしてしまうかもしれません。麻酔は、患者及び術者双方に欠かせない存在です。

<写真:手術室の無影灯/(C)池袋さくらクリニック>

 私は病院勤務医当時、実際に(必要に迫られ)麻酔無しで患者を縫合した経験がありますが、痛みで動かれてしまうため非常に大変でした。

麻酔の種類は沢山ある?

 麻酔は大きく分けて、「全身麻酔」と「局所麻酔」の2つあります。「全身麻酔」では点滴から投与される静脈麻酔薬やガス麻酔薬によって意識がなくなるのに対し、「局所麻酔」は神経の周りだけに作用するので意識は保たれたままである、という違いがあります。

 それぞれの違いを見ていきましょう。

「局所麻酔」は実際には「脊髄クモ膜下麻酔(脊椎麻酔、腰椎麻酔)、硬膜外麻酔、末梢神経ブロック、局所浸潤麻酔」に細分化され、全身麻酔と組み合わせることもあります。

 皆さんがイメージする虫歯治療やキズ縫合で使用されるのは、通常「局所麻酔(局所浸潤麻酔)」です。

全身麻酔はどう行われる?

 全身麻酔で意識を失わせるだけが麻酔の目的ではありません。

 全身麻酔の目的は、(1)意識を無くすこと(鎮静薬)(2)痛みを取ること(鎮痛薬)(3)動かなくすること・不動化(筋弛緩薬)の3つです。

(1)鎮静薬: 脳への神経伝達を抑えて、鎮静作用を発揮します。
(2)鎮痛薬: 脳への痛み刺激をブロックします。
(3)筋弛緩薬: 筋肉への運動刺激を止め、体動を抑制します。

 主にこれらの薬を使い、麻酔が効いたことを確認した後、執刀医が手術を開始します。

 鎮静薬を使い意識が無くなるので、「患者は楽じゃないか?」と思いませんか?

 私自身、手術や処置をする際に「意識がハッキリしている局所麻酔ではなく、全身麻酔にして欲しい」と患者から言われたことがあります。自発呼吸が弱くなり、舌が喉に落ち込む(舌根沈下)し、気道を詰まらせる可能性があり、「気管内挿管」という処置を行ったり、心臓の働きにも影響を及ぼすことがあるため、麻酔科医の助けが必要となります。

<写真:全身麻酔で使用される「アンビューバック(左)と喉頭鏡(右)」/(C)池袋さくらクリニック>

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