あまり見せたくないものは死角へ
対角線上に、あまり見たいとは思わないし、来客にも見せたくないものがあれば、それは「死角」に移動するよう、荒井さんはアドバイスする。
ここで言う「死角」とは、対角線上から外れた箇所。ドアを開けてすぐ横の壁際などが、それにあたる。「対角ではない隅やソファ脇などの死角は多少散らかっていても、目線に入りづらいので、そんなに気になりません」と、荒井さん。
死角に移動させることで、あか抜けた部屋になった例がこちら。
対角線上を占めていたおもちゃを、反対側になる死角に移動。代わりに、ここにソファを置き、壁にはお気に入りの絵画や子供の絵を3枚飾ったことで、見ちがえる空間に。
子供の絵は、「フレームに入れると巨匠レベルになる」、複数の絵は「不ぞろいでも、1本ラインを決めると一瞬で整う」というのも、荒井さんが本書で語るルール。こうした細かい点もおさえておくことで、部屋はずいぶんと変わる。
ベッドの位置を変えて部屋が生まれ変わる
最後の例は、女性の一人暮らしの部屋。入り口から対角線上をベッドが占拠してしまい、生活感がにじみ出てしまっている。
ベッドは、「ベッドヘッド(ベッドの頭側)を壁側に置く」というルールがあり、ホテルの客室はどこもこのルールに従っている。そこで、対角線上の窓の近くにあるこのベッドは、左手の死角の壁につける。対角線上には小机を配し、フロアライトもコーナーに。
これだけでも、部屋の印象がガラッと変わっている。フロアライトは、立体感と広さを演出する効果があるアイテムとして、荒井さんの著書でも取り上げられている。
対角線ルールは、著書の『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』にある20のルールの1つ。これだけでもだいぶ改善するのだから、残る19のシンプルなルールも実践すれば、あなたの部屋もきっと生まれ変われる。新たに購入しなくても大丈夫。今度の休日に、トライしてみてはいかがだろう。
荒井詩万さん プロフィール
インテリアコーディネーター。CHIC INTERIOR PLANNING主宰。日本女子大学家政学部卒。個人邸のコーディネートやリフォームなど150件以上を手がける。インテリアスクールや大学の講師としても活躍。その他、さまざまなセミナー、自宅でのインテリアレッスンなどを通して、今まで4000人以上にインテリアのノウハウを伝える。
写真・資料提供/荒井詩万さん、(株)サンクチュアリ・パブリッシング
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)