過熱するSUVブームの中で、昨年、異色を放つ本格4WDのニューモデルが続々と登場し、話題を集めた。サイズは異なるが、硬派なスタイルで根強いファンを持つ注目の2台を比較試乗した。
ジープ『ラングラー』もスズキ『ジムニーシエラ』もクロスカントリー4WDと呼ばれるジャンルのクルマだ。ここ数年、SUVが大人気だが、その前身がクロスカントリー4WD(略してクロカン)であることを忘れてはならない。
SUVという名称が使われるようになったのは2000年代に入ってから。乗用車のシャーシをベースに最低地上高を高くしてフルタイム4WDを組み合わせ、オーバーフェンダーやアンダープロテクターなどで味つけしたスタイルが特徴だ。
一方、クロカンはシャーシとボディーが分かれたラダーフレームが主流で、オフロードの走破性が高く駆動方式も副変速機を用いたパートタイム4WDが多かった。このパートタイム4WDの世界で今、ユーザーの熱い視線を集めているのが、ジープ『ラングラー』とスズキ『ジムニーシエラ』の2台だ。前者は11年ぶり、後者は何と20年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたのだ。両車ともルーツは40年以上遡るが歴史あるモデルだけあってファンも多い。今回は2台の進化を検証してみた。
昨年7月にデビューした『ジムニーシエラ』は軽自動車『ジムニー』の兄貴分にあたる車種。日本国内では『ジムニー』に注目が集まっているが、世界市場で見ると、主役は『シエラ』。1970年代後半から徐々に販売台数を伸ばし、今ではスズキを代表する車種のひとつとなり、稼ぎ頭となっている。
新型はラダーフレームから見直しを行ない、欧州市場での使い勝手を重視し、高速走行時の安定性や安全性能を強化した。また、新開発の1.5Lエンジンは動力性能の向上に大きく貢献している。
一方の『ラングラー』は1955年にデビューした民間用ジープのデザインを反映したスタイリングだが、中身は旧型とは全く異なる仕上がりになっている。特に、シャーシ関係のチューニングが大幅に向上。高速道路やワインディング走行時のハンドリングは目を見張るほど進化した。
新搭載の4気筒2Lターボエンジン+8速AT+4Hオートモードの組み合わせによって、スポーツ感覚も楽しめるクロカンに仕立てている。『ラングラー』は4ドアのほかに、ショートホイールベースの3ドアモデルも受注生産で用意されている。
どちらも男性なら一度は操ってみたくなるワイルドな乗り物だ。