うまく積めない場合の対処法
森さんによれば、集中するのが苦手な人ほど、ボールをうまく積めないそうで、なかなかうまくいかない場合は、以下の方法をとるようアドバイスする。
1. 上に置くボールにペンで直径5ミリほどの点を書き込む。
2. その点が天井を向くようにし、その点を真上から見下ろすような姿勢をとって、ボールを乗せてみる。
ボールを乗せられない主な原因は、ボールに目の焦点が合っていない(視覚をボールに集中させられない)からで、もっと小さな点に目の焦点を合わせることで、ボール積みが容易になるという。
ボール積みの上級編
上記のやり方が簡単にできるようになったら、1分間で5回のボール積みにトライしてみる。また、片手だけで積むようにする。
マスターすれば、「瞬間的にやるべきことに集中できる」まで力がつくという。同時に、プロのアスリートが試合前に行う、集中力を高めるための「ルーティン」にもなるので、仕事場に常備して、随時ボール積みをするように習慣づけるとよいだろう。
本書には、ほかに途切れた集中を復活させる「消去動作法」、一つのことに集中させる「一点シール法」など、実践的な集中力強化法も載っており、集中にはNGとなる注意すべき悪習慣も解説されている。気が散りやすいとか、物事に取り組むのに時間がかかるといった悩みを持つ人は、本書にあるメソッドをいろいろ試してはいかがだろう。
森健次朗さん プロフィール
株式会社集中力代表取締役。一般社団法人日本集中力育成協会代表理事。ミズノでは、シドニーオリンピックで12個の世界新記録を生んだ「サメ肌水着」を発明するなど、オリンピック競技ウエアの開発に携わる。現在は、リラックス法・集中法を体系化し、全国の企業、学校、スポーツチームを中心に、講演や研修、ワークショップを実施。
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)