多くの人がGmailを使っていると思うが、Gmailの場合、IMAPのほかにPOPでもメールを受信できるのをご存じだろうか。「IMAP? POP? 何それ?」と感じている人もいるかもしれない。意識していなければ、誰もがIMAP方式でメールを受信しているが、本記事ではあえて、POP方式のメール受信について解説していく。
GmailのPOPサーバーって何?
POPサーバーとは、メールの受信サーバーの1つ。メールの受信サーバーは、自分宛てに届いたメールをいったん受け取り、適切なタイミングで所定の端末にメールを配信してくれるものだ。
GmailをPOPで受信ってどういうこと?
POP方式とは、サーバーに届いたメールを端末にダウンロードして、基本サーバーに残さない方式だ。受信したメールを必ず端末にダウンロードするので、ネットワークに接続していなくても、ダウンロード済みのメールはいつでも参照できる特長がある。
GmailをPOPで受信できない場合の対処法
GmailをPOPで受信するには、Gmail側の設定をIMAPからPOPへ切り替えておく必要がある。さらに、メールソフト側もPOPで受信するよう設定しなくてはならない。
設定は、まずWebブラウザでGmailにアクセスし、設定画面を開く。「メール転送とPOP/IMAP」をクリックし、「POPダウンロード」の「ステータス」で「すべてのメールでPOPを有効にする」を選択する。
次に「POP でメールにアクセスする場合」で「Gmailのメールを削除する」を選択する。さらに、「IMAPアクセス」の「ステータス」で「IMAPを無効にする」を選択、画面下部の「変更を保存」をクリックすればよい。
GmailのPOPは遅い?
メールを受信する方式として、POPのほかにIMAPがある。「IMAPと比べてPOPは遅い」と言われるが、本当だろうか。
【参考】
POPはGmailに限らず受信するタイミングによってはメールの到着が遅い
POP方式でメールを受信する場合、端末側のメールソフトがPOPサーバーに定期的に新規メールの到着確認をする。POPサーバーの負荷を考えて、周期が10~15分程度とされていることが多いため、タイミングによっては、最大で10~15分ほど遅れて受信するわけだ。
これに対して、IMAP方式の場合は、IMAPサーバーにメールが到着した、ほぼリアルタイムで端末に配信される。これが、「POPはメールの受信が遅い」と言われる理由だ。
Gmailに登録したPOP3アカウントだとさらに遅い?
Gmailは、別のプロバイダーのPOPアカウントを登録しておくと、これも併せてメールを受信できる。ただ、こういった形で登録したPOPアカウントの場合、上で説明した到着確認の周期が1時間なので、最大で1時間の到着遅れが発生することになる。
Gmailに登録したPOP3アカウントの到着確認周期は設定で変更できない
この到着確認の周期は、設定で変更できないので、遅延は避けられない。メールを使うにあたって、こういった遅れが許容できない場合は、POP3アカウントをGmailに登録するのではなく、直接メールソフトに設定して受信しよう。
「Gmail POP3 Checker」を使うと到着確認の周期を短縮できる
WebブラウザのChromeの機能拡張である「Tampermonkey」と「Gmail POP3 Checker」を使うと、到着確認の周期を短くできる。ただし、この機能を利用するには、常にこれらをインストールしたChromeを起動しておく必要がある。実用的とは言い難いので「こういった方法もある」程度に留めておこう。
ポップアップでGmailの新規メールを通知
新規メールを受信したとき、やはり通知があると便利だ。実は、GmailをWebブラウザ経由で使う場合でも、メールソフトと同様の通知を受け取れる。
Gmailのポップアップ通知の設定方法
WebブラウザでGmailにアクセスし、設定画面を開くと、「全般」の中に「デスクトップ通知」という項目がある。ここで、「メール通知ON」を選択して「変更内容を保存」すると、ポップアップ形式で通知を受け取れる。
ポップアップブロッカーが有効でもGmailの通知は可能
通知の形式はポップアップだが、Webブラウザのポップアップブロックが有効でも、この通知は受け取れる。セキュリティレベルを下げることなく便利な機能が使えるのは嬉しい限りだ。
Gmailでポップアップ通知が便利なのはスマホと同じ
ポップアップ形式の通知が便利なのは、スマホを利用している人なら実感しているだろう。特にメールを待っている時も、ポップアップ通知なら到着がすぐにわかる。こういった機能も積極的に使いこなしたい。
ポップアップ通知でGmailをさらに便利に
「デスクトップ通知」を有効にすると、Webブラウザだけでメールソフトと同じことができる。こうなると、わざわざメールソフトをインストールする必要もなければ、アカウントの設定をする必要もない。Webブラウザを立ち上げれば、いつでもどこでもGmailが使える。
GmailはPOPもIMAPもOK
POP方式は、メールを一時的に保管しておくストレージやネットワークの帯域がとても貧弱だった時代のレガシーな技術。「利用する端末は1台」「メールはサーバーに残さない」という要件なら有効だが、そうでなければIMAP方式がおすすめだ。
Gmailで使えるPOPとIMAPの違いとは
IMAP方式はメールをすべてサーバー上で保管するので、複数の端末からアクセスする場合、どの端末からアクセスしても同じ状態だ。パソコンだけでなく、スマホやタブレットからもアクセスするなら、IMAP方式のほうが圧倒的に使いやすい。
GmailでPOPとIMAPは併用できる?
Gmailでは、受信サーバーとしてPOP方式とIMAP方式を併用可能だ。Gmailの設定で「POPダウンロード」と「IMAPアクセス」を両方有効にできる。とはいえ、一般的な使い方ではIMAP方式のほうが使いやすいので、無理に併用せずIMAP方式で利用することをおすすめしたい。
Gmailに限った話ではないが、POP方式は特定の要件を満たす用途でなければ、好んで選択しなくてもよいだろう。ただ、どうしてもPOP方式を利用しなければならないときは、本記事の知識を頭の片隅にでも置いておいてほしい。
【参考】
文/ねこリセット