【初めてのブロックチェーン】ブロックチェーンを実現する分散技術
インターネットに匹敵する革新的な技術として注目されているのが「ブロックチェーン」です。ブロックチェーンといえば、暗号資産に使われている技術ですが、決して「ブロックチェーン=暗号資産」ではありません。ブロックチェーンは、仮想通貨だけでなく、様々な領域に応用すべく開発や実験が行われており、将来は医療、食品、流通、保険、著作権保護といったジャンルへの活用が見込まれています。
今回はブロックチェーンの基本概念である「分散」について解説していきます。
ブロックチェーンを実現する3つの技術
ブロックチェーンそのものを実現するためには①P2Pネットワーク、②P2P分散ストレージとコンテントアドレス、③合意形成手法の3つの技術が必要になります。ビジネスパーソンとしては、それぞれ、①どこかが止まっても壊れない、②取引データが改ざんされない、③取引データが合理的に承認される の3つをイメージできれば、ブロックチェーンをビジネスシーンでどのように活用するか、ある程度論じられるはずです。
ここではそんな3つの技術について、さらに踏み込んだ解説を行います。
技術的な話が続き内容が難しく感じると思いますので、本文にでてくる用語を以下にまとめました。参考にしてください。
■用語集
分散ネットワークの基本は単一障害点がないP2P(ピア・ツー・ピア)
ブロックチェーンのネットワークは「自律分散型」という仕組みで、ネットワーク上の一部分が止まった場合でも価値の流通は止まらないという説明を「『価値』記録できる?ブロックチェーンの仕組みを解説!」(リンク入ります)で行いました。まだ読んでいない方はそちらを先に目を通してみてください。
まず分散台帳を実現しているネットワークの仕組みから解説します。ブロックチェーンで使っている接続方式は「P2P」(ピア・ツー・ピア)といいます。ブロックチェーンだけで使われている技術だけではなく、大規模なオンラインゲームやファイル共有アプリでなどで利用されている一般的な技術です。
下の図を見てください。P2Pでは2台のコンピューターが1対1で接続しています。1対1の接続が網目の様に張り巡らされているので、どこかの1箇所が故障したとしても通信が継続できるとイメージできればしめたものです。このとき接続しているコンピューターのそれぞれを「ノード」といいます。P2Pのネットワークでは接続しているノードのそれぞれに同じデータが保存されていることになっており、このことが「分散」に一役買っています。ちょうど、同じ仕事をできる社員が複数人居る会社で誰か一人が会社を休んでしまっても業務継続に支障がないのと同じです。
■P2Pネットワークのイメージ
だんだん技術よりな話に進みます。上で説明したとおり、どこかのノードが故障しても通信が継続できることを、「単一障害点がない」という言い方をします。文字通り単一障害点は「その1ヶ所が動作しないとシステム全体が使えなくなる部分」のことをいい、P2Pネットワークでれば、単一障害点をなくすことができます。
もちろん世界中に1万ものノードを有するビットコインのP2Pネットワークは、誕生以来一度も停止することなく動作を続けています。