花粉症と風邪は区別できるか?
「花粉症」特に「スギ花粉症」は、関東・関西・九州では2~4月、北海道では4月という「冬の終わりから春先に多い」特徴があります。寒暖の差があることに加え、新生活など環境が変わりやすく体調を崩し、「風邪」をひきやすい季節と重なります。
「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」という花粉症の3大症状は、風邪に似ていると思いませんか?
花粉症では止まらない位に連続しやすい「くしゃみ」が、風邪では数回しか出ないという違いもあります。他には
・「目のかゆみ」:花粉症では目がかゆくなりやすい一方、風邪では少ない症状です。
・「鼻水」:花粉症では鼻水に粘り気が無い一方、風邪では粘り気があります。
・「天気」:花粉症は晴れて風の強い日は症状が出やすい一方、風邪は天気には左右されにくいです。
・「期間」:花粉症では花粉が飛ぶ時期に合わせて、症状の軽快と悪化を繰り返す一方、風邪は1週間程度の短期間で治る特徴があります。
(あくまでも一般的な花粉症と風邪を比較)
では「発熱」はどうでしょうか?
ふつう「花粉症」は発熱が少なく、風邪は発熱を伴いやすい傾向があると考えられています。
ところが、ある大学病院耳鼻科で「37度台の熱があり風邪だと思って受診した患者が実際は花粉症だった」例が、花粉症患者の3分の1から4分の1程度もいたようです。
「発熱=花粉症ではなく風邪」と考えるのは早計かもしれませんね。
確実に診断するには、医療機関で血液検査を受け「IgE抗体」を調べる方法があります。
血液中のIgE濃度が高いと症状が出やすいです。
現在200種類以上の「IgE抗体」を測定することができ、原因物質が分かります。
花粉症は自然に治るのか?
「風邪」は、休養と栄養を十分に摂っていれば自然に治る可能性がある病気です。
「風邪」が重症化し命を脅かすこともあり、決して軽視は出来ませんが、「患者自身の治す力や看病する人の愛情」が最大の薬です。
「花粉症が自然治癒するか?」という研究が、獨協医科大学がある栃木県壬生町で行われました。花粉症の町民1525名のうち、自然治癒率は1.97%と非常に低い結果となりました。
残念ながら「治す力と愛情」だけでは「花粉症」を治すことは出来ないようです。
なお、たとえ数年間症状が出ていなくても、花粉に対する抗体は残っており、待機状態が続くので油断は禁物です。
命を落とす危険性が殆どない「花粉症」は、罹っていない人からみると、つらさが理解しにくい病気かもしれません。「イライラ感が出たり、集中力が低下する」ため、ビジネスパーソンの仕事の効率を確実に落とす病気です。
様々な治療方法があるとはいえ、完治させることが難しく、患者自身は悩んでいます。
もし職場や家庭で「花粉症」に悩む方がいたら、皆さんの温かな愛情と出来るだけ「柔らか素材のティッシュペーパー」をご準備して頂きたいと、「花粉症」で悩む1人として切に願います。
取材・文/倉田大輔(池袋さくらクリニック院長)