医師がすすめるカラダにイイこと!教えてDr倉田
スギ花粉が舞い、花粉症に悩む方にはつらい時期ですね。
日本人の3~4人に1人が罹り、国民病とも呼ばれる「花粉症」を症状の点から見ていきましょう。
“花粉症”のルーツは英国海軍にあった!?
「花粉症」はかつて「枯草熱(こそうねつ)」と呼ばれていました。19世紀初頭、英国の農民が牧草を刈り取って乾燥のために倉庫(サイロ)に収納する際に、「鼻からのどにかけての焼けつくような痛み、かゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙が止まらない」といった症状を訴える人が続出しました。これは牧草であるイネ科植物「カモガヤ」による花粉症です。
英国の牧草面積は国土の約45%と広く、対して森林面積はわずか9%ですが、この面積の差と花粉症に英国海軍が関係しています。
無敵艦隊と呼ばれたスペイン艦隊を1588年に英国海軍が撃破し、大英帝国の名を世界に轟かせます。戦争に勝つための軍艦を作るために船体材料として非常に数多くの木「オーク材」を切り倒し、その跡がどんどん牧草地に変わり、英国内では「森林の消滅」と社会問題になっていました。敵艦隊に替わり「牧草植物カモガヤ(まぐさ)」が英国国民を苦しめます。英国海軍は、栄光の代償に「花粉症」という病気を作り出してしまったようです。
社会情勢と病気が関係する意味で、第2次世界大戦後の造林計画でスギの木がたくさん植林され、スギ花粉症として現代の私たちを悩ませる構図に似ていると思いませんか?
花粉症が発生するメカニズム
花粉(抗原)というアレルギー物質(アレルゲン)に身体が何度も曝される(反復刺激)と、体内に大量の抗体「IgE抗体」が作られ、「肥満細胞」の表面にくっ付きます。
侵入した異物情報を身体が記憶し、待機し待ち構える状態となります。
再び花粉が襲来すると「IgE抗体」の先端に花粉が付き、肥満細胞から「かゆみを起こす物質(ヒスタミン)」が放出されて、かゆみ鼻水、鼻づまりという症状が出ます。
身体を外敵から防御する免疫反応が過剰に働き、アレルギー(花粉症)として、私たちを悩ませます。