昨年4月、1.7GHz帯周波数で特定基地局開設計画の認定を受け、移動体通信事業(MNO)への新規参入が決定した楽天モバイルネットワーク株式会社が、第4のキャリアとして携帯電話通信三大キャリアに挑む。その戦略の一つ「楽天クラウドイノベーションラボ」が2月20日に報道公開された。
携帯キャリア事業のサービス開始は2019年10月を見込んでおり、事業成功に至れば、楽天が従来の携帯通信業界の常識を覆すことになるかもしれない。
楽天が目指すもの
今回発表された「楽天クラウドイノベーションラボ」は楽天が構想する「エンドツーエンドの完全仮想化クラウドネットワーク」の基盤となるものだ。楽天のネットワークは従来の通信方法とは異なり、クラウド上にあげるというもので、無線アクセスネットワークからコアネットワークまでが仮想化される。加えて、基地局と基地局を結ぶ通信設備の役割をクラウドが担うため、一括した管理・保守・運用が可能となるのだ。
これは世界初の試みとなり、国内のみならず世界各国の有名企業が賛同、および注目している。
ソフトウエアを重視
通信業界は従来までは、「ハードウエア重視」であったため、3Gから4Gに切り替える際など、ベンダーへオーダーメイドの通信機器を発注していたため、どうしてもコスト高となっていた。
しかし今回の楽天は「ソフトウエア重視」なため、基地局設備への投資額が他社よりも低いといわれている。
(以下@DIME「第4のキャリア、楽天が基地局の建設をスタート!気になるネットワークは?」より参照)
『基地局設備の投資額は、当初予定していた6000億円を下回る見込みで、他社と比べて投資額が少なくなっています。これを指摘された三木谷社長は「安定性にはまったく関係ない。今までと次元の違う安定性を提供できると思っている」と力強く語りました』
基地局設備のコスト減の一因として、クラウド上で処理を行うため、5G切り替え時などもオーダーメイドの機器(専用のハードウエア)に頼る、ということがなくなることが挙げられる。
ハードウエアに依存しないこの形態は、理論上は汎用のPCでも、処理能力が欠けるものの、サーバ上のソフトと組み合わせて設計が可能。ということになる。
この楽天の試みが成功した暁には、大幅なコストダウンが期待され、比例してユーザーの通信費負担額軽減の可能性も出てくる。
そうなった時、他3キャリアがどういった動きをするのかも注目だ。
【参照】第4のキャリア、楽天が基地局の建設をスタート!気になるネットワークは?