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脳のネットワークを切り替えて仕事に役立てる方法

2019.03.05

何もしていないときにも活動する脳の仕組み「デフォルトモードネットワーク」について話題に上ることが多くなった。

富山大学大学院生命融合科学教育部博士課程で、心と体の関係について研究を行う傍ら、脳科学に関するコンサルティングを行う佐藤洋平さんに、デフォルトモードネットワークの概要についてや、脳のネットワーク切り替えを仕事に役立てる方法などを聞いた。

「デフォルトモードネットワーク」とは?

まずは佐藤さんに、デフォルトモードネットワークについての概要を聞いた。

「デフォルトモードネットワークとは何もしていないとき、ぼんやりしているとき、自分のことを考えているとき、あるいは過去や未来のことを考えているようなときに活動する脳内ネットワークです。

このネットワークは、今まで蓄えられた記憶や現在の体の状態を意識するときに活動するので、ある意味、脳のオフライン処理、つまり外部とつながっていない状態、記憶や現在の身体状態であるお腹が痛い、満腹だ、のどが渇いた、疲れたなどに関わるようなものとも考えられます」

対照的な「エグゼクティブネットワーク」

佐藤さんによると、デフォルトモードネットワークと対照的なネットワークとして、「エグゼクティブネットワーク」というものがあるという。

「エグゼクティブネットワークは何か作業しているときに働くようなネットワークで、外部の情報を取り込み処理する、オンライン処理のような働きをするネットワークです。テニスのラリーをしているときやエクセルの打ち込みを無心に行っているときには、このエグゼクティブネットワークが優位に働きます」

そしてエグゼクティブネットワークはデフォルトモードネットワークとシーソーゲームのような関係にあるという。

「仕事をしているとき、つまりエグゼクティブネットワーク優位のときにはデフォルトモードネットワークの働きは弱まり、ぼんやりしているときや自分のことに気を向けているとき、つまりデフォルトモードネットワーク優位のときにはエグゼクティブネットワークの働きが弱まります。

よく夢中になって我を忘れるという現象がありますが、これはエグゼクティブネットワークが過度に強く働き、自己意識に関わるデフォルトモードネットワークの働きが抑制されることから起こります。

またデスクでぼんやりと週末の予定を考えているときにはデフォルトモードネットワークが優位に働きますし、そこで後ろから上司に声をかけられれば意識は上司の方を向き、エグゼクティブネットワークが優位になります」

切り替えスイッチ「セイリエンスネットワーク」

「私たちの意識はこのように自分の内側(デフォルトモードネットワーク)と外側(エグゼクティブネットワーク)を行ったり来たりしますが、このときのデフォルトモードネットワークとエグゼクティブネットワークのスイッチング(切り替え)に関わるネットワークがあり、これはセイリエンスネットワークと呼ばれています。セイリエンスというのは『目立った、顕著な、際立った』を意味する言葉ですが、セイリエンスネットワークは際立った情報を検出するような働きがあります。例えばお腹が痛いときには、お腹の方に意識が行くようにデフォルトモードネットワーク優位になるよう脳の働きを切り替えますし、車を運転していて眼の前に子どもが飛び出してきたようなときにはエグゼクティブネットワークが優位になるように脳の働きを切り替える役割があります」

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