医療や介護の現場でチョコが活用されるかもしれない?
病気やケガなどで入院(入所)し、自分でトイレに行けない時、看護師や介護士が排便介助や後片付けを行います。医療機関などでは、食事量も減り、食物繊維も減り、運動量も減るため、便の出が悪くなり、結果的に「便の臭い」が強くなりやすいです。
日本で近年、高齢入院患者を対象に、「チョコ(ココア)←個体よりも液体の方が飲んでもらいやすい」を1日2回飲んでもらったところ、「便臭が低下(臭いの元であるアンモニア量も低下)し、排便回数も増える」という結果が出ました。
高齢社会の日本で、DIME世代はこの先、親や身内の面倒を見る機会も増えるでしょう。「自分以外の他人の便の臭い」はどうしても気になるものですが、チョコ(ココア)効果が活用されると、面倒をみる側のストレスも軽減していく可能性を秘めています。
日本人の未来に大切な、チョコの食物繊維「リグニン」?
食物繊維は、人間の消化酵素で分解されない成分で、腸の働きを活発する働きを持っています。
日本人の食物繊維摂取量は年々減少していて、1日の目標摂取量を「女性では3.6g、男性では4.9g」も下回っています(2015年日本人の食物摂取基準から)。
食物繊維が足りないと、便秘だけでなく、痔、腸内環境の悪化から大腸がん発がんのリスクも高まります。
チョコには製品で異なりますが、食物繊維が「2.0g~6.5g」と豊富に含まれています。
実際私の手元にある、苦めのビターチョコ栄養成分表示には、「1枚(50g)中、食物繊維2.8g、283kcal」と記載されています。
食物繊維「リグニン」は、特にチョコに豊富に含まれ、他の食物繊維に比べて、体内で消化されにくい特徴があります。腸内に残った「リグニン」は、周囲の水分を含むことで膨張し、便を増やすことで、便通を良くします。
日本人の未来の「便の悩み」を救うのは、「リグニン」かもしれません。
チョコは、歴史が示す通り、過去にも未来にも、人間の健康に重要な働きを持つ食べ物です。ただし、カロリーが高め(リンゴ5個分=板チョコ1枚)ですから、食べ過ぎは注意です。
食物繊維豊富なチョコは、便秘に悩む女性におススメな食べ物ですが、女性にとって「便の話題」はとてもデリケートです。「便、便」と男性が言い過ぎると、来年は貰えないかもしれませんので、そこは自己責任でお願いします。
取材・文/倉田大輔(池袋さくらクリニック 院長)