科学的に証明されたマインドフル・イーティングで得られること
■体重の減少
ハーバード大学から発表された「Current Obesity Reports」で、マインドフル・イーティングは体重コントロールに役立つ可能性がある、と記載されています。また、インディアナ州立大学からは「お腹はいっぱいなのに気持ちが食べたいだけ」という感情に気付かせることで、無駄に食べることが防げる、という研究結果が出ています。
■うつ症状の解消
インディアナ州立大学とドゥーク大学の共同研究結果で、食事の時間を楽しむことで摂食障害の治療やうつ病の解消に役立つ可能性があることが示唆されています。
マインドフル・イーティングの方法
ハーバード大学公衆衛生大学院で推奨されているマインドフル・イーティングを参考にしながら、実際に私が実践している方法は以下の通りです。
STEP1:適度に空腹な状態で食卓に着く
お腹がペコペコな状態で食卓に着くと、「料理を味わう」ことよりも「胃袋を満たす」ことを優先してしまって食事に集中することできないので、適度に空腹な状態で食卓に着くようにしています。
STEP2:全ての感覚を料理に集中させる
五感で料理を楽しみます。目で食べ物の色や形を、手で食材の触感を、鼻で料理の香りを、耳で噛んでいる時の音を、舌で食べ物の噛み応えや舌ざわりを感じることで、食事の時間がより楽しくなります。
STEP3:少量を口に入れ、よく噛む
口が食べ物でいっぱいな状態では、料理を味わうことはできないため、少しずつ口に入れ、ゆっくり噛んで食べます。ちなみに、1口あたり20~40回噛むことが推奨されています。
ご飯を食べるのに、こんなに時間をかけられない…!という方は、先ずはTVやスマホを見ずに、食事することだけに集中して、一口20回以上噛むところから初めてみてください。満腹感や食事の満足感がきっと変わるはずです。
満腹感は「咀嚼回数×胃の広がり×血糖値の上昇」で決まると言われており、唯一私たちがコントロールできるのが咀嚼回数です。よく噛んで食事をとることで、ドカ食いを防ぐことができます。
マインドフル・クッキングの方法
こちらも、ハーバード大学公衆衛生学科で推奨されているものを参考にしながら、私が実践している方法です。
STEP1:全ての感覚を料理に集中させる
食材の色や形、調理している時の音、調理の過程で食材がどのように変化していくか、などに神経を集中させ、料理をしてください。
実際に、野菜のみじん切りや、玉ねぎをアメ色になるまで炒めたりすると、その作業をすることに夢中になっている=マインドフルネス状態になっている事に気付くかと思います。
STEP2:完成系をイメージしながら盛り付ける
どのように盛り付けると料理が美味しそうに見えるか、食欲がそそるか、など理想の状態を想像しながら、丁寧に盛り付けます。お肉の断面図が見えるように…、ソースがお皿に付かないように…、そんなことを考えながら無心に盛り付けている時間は、意外と楽しいものです。
食事や料理の時間を活用して行う、マインドフルネス
このように、私たちが毎日必ず取っている食事の時間を活用することで、今この瞬間だけに心を集中させる状態に持っていく訓練をすることができます。
自然とマインドフルネスを実践できるようになることで、仕事の生産性向上やストレスからの解放へと繋がっていきます。
是非今日の食事時間からトライしてみてください。
文/小松佐保(Foody Style代表)
一橋大学経済学部卒業。日本&シンガポールのブランドコンサルに勤務した後、食領域に特化したマーケティングコンサルとして独立し、アメリカ・ボストンへ。
会社員時代に生活習慣の乱れが原因で体調を崩したこと、ボストニアンの心身共にヘルシーなライフスタイルに感化されたことで、「食×健康」に関心を抱くように。
現在は、ニューヨークの世界最大の栄養学校Institute for Integrative Nutritionでホリスティックヘルスを学びながら、食生活やライフスタイルを改善するための情報発信やイベント開催などを行っている。