米国発ウェルネスライフのススメ 第二回マインドフルネス
ハーバード大学やMITなど世界トップレベルの大学が集まる学術都市ボストンに住む人々から学んだ、心身共に豊かで健康な生活「ウェルネスライフ」という概念をご存じでしょうか? ウェルネスライフとは肉体的、精神的、そして社会的に良好な状態を目指す生き方です。
詳しくはコチラ→ ■ウェルネスライフとは?
本連載「食から始まるウェルネスライフ」では心の整え方や健康的な身体づくりの方法など、「ウェルネスライフ」を実現させるための秘訣を、私たちが生活していく上で必要不可欠な「食」と絡めて紹介します。今回は、食事時間を活用して、今行っている事だけに心を集中させる「マインドフルネス」を実践する方法について紹介します。
考えすぎて疲弊している私たち
「人間は考える葦である」と言われているように、私たちは毎日色んなことを考えながら生きています。
会社に着ていく服をどれにしよう?午後の会議の資料はあれで大丈夫かな?友人からのメールに何て返信しよう?クライアントとの会食はどこにしよう?
常に色んなことが頭の中をグルグルしています。
「決断疲れ」という言葉があるように、人間の脳は決断をするたびに精神的疲労が蓄積していきます。それが溜まりすぎと、パフォーマンスやモチベーションが低下する、ということが科学的にも証明されています。スティーブ・ジョブズが決断疲れを避けるために毎日同じ服を着ていたというのは有名な話です。
また、私たちを悩ませているものは大きく分けて(1)過去の後悔 (2)未来への不安の2つに分かれます。
何であの時あんな行動をしてしまったのだろう…あの時こっちを選んでいればこんな事にならなかったのに…過去のことを悔やんでも過去に戻ることはできません。
あるいは、今この行動を取ったら後でどんな影響が出るのだろう…神様以外分からない事に時間と労力を使っていてもどうしようもありません。
一言で言うと、私たちは色んなことを考えすぎな訳です。色んなことを考えているうちに、真の目的や本当に大切なものが見えなくなったり、ネガティブな感情が飽和して不安に陥ったり、ストレスが溜まったりし、結果的にパフォーマンスも下がってしまうのです。
そんな精神状態を改善するための方法として始まったのが「マインドフルネス」です。
マインドフルネスとは?
マインドフルネスとは「今この瞬間に集中している心の状態」のことを指します。
余計なことは考えずに、リラックスして、今やっていることだけに集中している状態です。
ブリティッシュコロンビア大学が2015年に発表した研究結果によると、マインドフルネスのトレーニングを行うと、スピーディーかつ最適な意思決定を下すことが可能となり、その結果生産性が高まるとされています。
アメリカでマインドフルネス・トレーニングは普及して、様々なマインドフルネス・イベントが開催されていますし、GoogleやAppleなどの大企業も従業員の生産性を高めるために、マインドフルネス・プログラムを導入しています。
食領域でマインドフルネスを実践するには?
マインドフルネスを実践することで、生産性が高まることは分かりましたが、ではどのような訓練をすれば、今この瞬間だけに心を集中させることができるようになるのでしょうか?
よく用いられているのがメディテーション(瞑想)です。
実際にメディテーション講座に行ってきましたが、暗闇の中でインストラクターの声に従って雑念を取り除いていくもので、確かにその時間はリラックス状態になることができました。前述のスティーブ・ジョブズをはじめ、トップ経営者が瞑想を習慣にしているという事もよく聞きます。
しかし、このようなメディテーションのレッスンに毎日行くことは難しいと思います。そこで、今回は私たちに身近な「食」を絡めて、毎日気軽にできるマインドフルネスを実践する方法を2つ紹介します。
マインドフル・イーティング
「マインドフル・イーティング」とは、一言で言うと「食べること」だけに集中することです。1人でテレビやスマホを眺めながら短時間でご飯を済ませるよりも、誰かと時間をかけて食事をしている時のほうが、同じ量を食べていたとしても満腹感がある。このような経験をしたことはありませんか?
五感をフルに使って食事を味わうことで、食べるスピードや食べる量をコントロールし、さらに食事を通して得られる幸福度を上げていこう、というのが「マインドフル・イーティング」です。