Impression
●『TE-D01d』はタイトな低域と切れ味のいい高域がウリ
本機にはφ6mmグラフェンコーティング振動板を採用したダイナミック型ドライバーが使われている。グラフィンはダイヤモンドよりも硬い炭素素材でPET素材の振動板にコーティングすることで、軽くて硬い振動板となる。ワイドレンジでスピード感のある演奏のYuji Ohno & Lupintic Six「LUPIN THE THIRD 〜GOODBYE PARTNER〜/TORNADO 2018」をA&ultima『SP1000』で再生してみると、思った通りにキレキレの高域で、耳に刺さらないギリギリの線を狙った音だ。さすが試聴を繰り返しただけのことはある。低域もスピード感があり、かなり低い帯域まで伸びている。タイトというほどではないが、膨らまず鈍らない。
井筒香奈江「Laidback2018/You Are So Beautiful」は、普段よりも凛とした歌声で、やや硬質で透明感が高くなった。この辺りはグラフェンの音色なのかもしれない。高域の再生限界が高いので、ボーカルのヌケがいい。解像度は高めに聞こえるが、aptXで接続してもBluetoothによる情報の欠落はさけらず、細かい響きを全て再現するのではなく必要な部分を際立たせているようだ。
『iPhone 7 Plus』とペアリングすると、『接続しました〜」というアニメ声の日本語ガイダンスが流れ、その後、左右でペアリングされる。DAPと比較するとナローレンジだが粒立ちのいい音で、普段のiPhoneとは段違いの高音質に聞こえた。また、再生、停止、曲送りだけでなく、前作ではできなかった音量調整が、左右の物理ボタンでできるようになり操作性も向上。ボタンにはクリック感があるのでタッチセンサーより分かりやすいのだ。
●『WE-D01c』は前作より情報量が増えて包み込むような低音
実は私、外出時はiPhone用に『WE-D01b』を愛用中である。左右独立型はケースに入れる必要があり、収納が面倒。さらに電車内で片方だけ落とすのが心配。ケーブル一体型なら、外音を聞くために外した時に左右をマグネットで結合できるので便利。それにリモコンも大きくて使いやすい。防水性能もIPX7相当で安心なのだ。
後継モデルとなる『WE-D01c』はアルミハウジングを新設計したというが、外見はほとんど同じである。チップも同じ、再生時間最大6時間もおなじ、充電時間約1.5〜2時間も同じだ。これなら音もあまり変化ナシかと思ったのだが、『iPhone 7 Plus』では情報量が増えて、低音の量感も増加している。ベースの音の細かい響きが再現されて、包み込むような低音が出た。無理矢理膨らませた低音ではなくソースに入っている低音である。いつも見ているNetflixもセリフが聞き取りやすく、さすがWEシリーズと感心した。私の中ではU5000円Bluetoothイヤホンのベストバイは『WE-D01c』である。
左のブラックが『WE-D01b』、右のブルーが『WE-D01c』である。そのデザインは、ほぼ同じと言ってもいい。
写真・文/ゴン川野