歴史映画: 日本編
(1)平安時代
『空海―KU-KAI―美しき王妃の謎』(2017年)
『始皇帝暗殺』『さらば、わが愛/覇王別姫』のチェン・カイコー監督、染谷将太主演の日中合作映画。原作は、夢枕獏の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』。
“弘法も筆の誤り”のことわざで知られる、日本史上屈指の天才僧侶・空海上人(弘法大師)を主人公に据えた歴史ファンタジー。留学で唐にやってきた空海(染谷将太)が、詩人・白楽天(ホアン・シュアン)とともに長安で起こる怪事件の謎を解き明かす。
(2)安土桃山時代
『のぼうの城』(2012年)
『ゼロの焦点』の犬童一心監督&『ローレライ』の樋口真嗣監督。狂言師で俳優の野村萬斎主演。和田竜の同名小説が原作。
戦国時代末期、豊臣秀吉・石田三成の2万の軍勢をたった500人で撃退した“愛され系”殿様の活躍を描いた爽快な歴史エンターテインメント。
現在の埼玉県にある忍城の城主・成田氏一門の成田長親は、領民から“のぼう様(でくのぼう)”と呼ばれて慕われていた。武術も勉強もそれほど得意ではないものの、人に好かれる才能だけは人一倍凄かった長親が大軍を破るために考えた奇策とは?
『関ヶ原』(2017年)
司馬遼太郎の『関ヶ原』を原田眞人監督、岡田准一主演で実写化。
1600年に起こった“天下分け目の戦い”関ヶ原の合戦を、石田三成(岡田准一)と徳川家康(役所広司)を中心に描く。
(3)江戸時代
『殿、利息でござる!』(2016年)
磯田道史氏の『無私の日本人』に登場する穀田屋十三郎の活躍を、阿部サダヲ主演、中村義洋監督で実写化。江戸時代を懸命に生きた庶民達の実話に基づく感動作。
仙台藩領内の宿場町・吉岡宿は、藩の課す重税に苦しみ財政難にあえいでいた。穀田屋の当主・穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は、吉岡宿を救うために“お上に十両(約3億円)を貸して利息を回収する”という大胆な方法を実行に移す。
『武士の家計簿』(2010年)
同じく磯田道史の『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』が原作。侍が日本刀ではなくそろばんを武器にしているのが、新鮮で面白い。
加賀藩の御算用者(会計係)を代々務めた猪山家の人々が主役。身分が高くなるにつれて出費が増えたため、猪山家の家計は火の車になっていた。「御算用者が赤字では面目丸つぶれ」ということで、八代目の直之(堺雅人)は家族と共に倹約生活を始める。
(4)昭和
『硫黄島からの手紙』(2006年)
クリント・イーストウッド監督。日本人俳優としては、渡辺謙、二宮和也らが出演した。太平洋戦争中の“硫黄島での戦い”を、日本兵の視点に立って映画化。アメリカ兵の『父親たちの星条旗』と対になっている。
日本に妻と子どもを残して硫黄島にやってきた若き兵士・西郷(二宮和也)と指揮官の栗林忠道中将(渡辺謙)の視点から、祖国に想いを馳せながら硫黄島で戦った兵士たちの姿を描いた。
『日本のいちばん長い日』(2015年)
半藤一利・大宅壮一の『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日』が原作。1967年に続いて、2度目の映画化となった。
1945年8月15日正午に昭和天皇が玉音放送を行なうまでの24時間は、“日本のいちばん長い日”だった。御前会議でポツダム宣言受諾を決定してから、関係者達は何を考え、どう動いたのか。
阿南惟幾陸軍大臣(役所広司)、昭和天皇(本木雅弘)、鈴木貫太郎首相(山﨑努)、迫水久常書記官(堤真一)らの視点から、日本の歴史的瞬間を切り取った作品。
文/吉野潤子