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知れば知るほど奥が深い!自分好みの日本酒を見つける方法

2019.02.17

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

おじさんが一升瓶を抱えるイメージは古い!日本酒の飲酒シーンは多様化傾向に

1988年以来30年ぶりに行われた、日本酒造組合中央会による「日本人の飲酒動向調査」(2017年)では、一番好きな酒類として31.2%から13%と日本酒の割合が大きく低下し「日本酒離れ」が進行している状況にあることがわかった。しかし、直近1カ月に飲んだ酒としてビール(61.2%)の次に日本酒(35.5%)が挙げられ、ビール以外の1回あたりの飲酒量を比較すると、30~60代を抑えて20代が最も高いという結果に。また、日本酒を飲む女性は52.6%から72.9%に、飲むシーンも食中酒として飲む割合が21.1%から68.5%に上昇した。

全体の日本酒飲酒量は減り続けているものの、従来のヘビーユーザーが飲んでいた手頃な普通酒の飲酒量が減っていて、今はプレミアムタイプの吟醸酒、純米酒が若い世代や女性に新しい支持層を得て堅調に推移している。決まった銘柄しか飲まない一升瓶を抱えたおじさんの酒というイメージから、食事とのペアリング、さまざまな銘柄を少しずつ味わうなど、TPOに応じていろいろな楽しみ方ができる酒へと変化している。

日本酒を飲まない理由では、味の好みではなく「飲んだことがないからわからない」という回答が一番多かったという。国税庁調べ(平成28年)では国内の酒蔵は1615場(実際の稼働数は1200場程度)もあり、平均すればひとつの蔵で10銘柄以上は持っていると推察され、単純計算しても1万2000銘柄以上となる。この中から好みの酒を選ぶのは至難の業。好みの味を見つけるためのヒントとなる「日本酒の基本のき」について、日本の酒情報館の今田周三館長と、日本酒造組合中央会の郷古純さんに話を伺った。
(※データ画像提供:日本酒造組合中央会)

知っていると選びやすい、日本酒初心者が一歩を踏み出すヒント

〇日本酒を造るのに適した「酒造好適米」

日本酒は米から造った醸造酒で、酒を造るのに必要なのは米の中のでんぷん。「山田錦」「五百万石」「雄町」「美山錦」など日本酒向けの「酒造好適米」はでんぷん含有量が多い。

でんぷん質である「心白」はお米の中心部にあり、雑味のもとになる外側の玄米やその周辺のたんぱくや脂質成分を削ることを「磨き(精米)」と呼んでいる。外側を削れば削るほど中心のでんぷん質だけになるので、雑味の無い「大吟醸」「吟醸」という種類の酒になる。

〇製法や原料で区分される日本酒の分類

基本として押さえたいのが日本酒の分類。「特定名称酒」は、米と米麹だけで造る「純米」と、米と米麹に醸造アルコールを加えた「本醸造タイプ」があり、それぞれが米の削り方によって大吟醸、吟醸、純米などに分かれる。特定名称酒以外の日本酒は「普通酒」と呼ばれる。どのようなタイプかわかると、香りがいい、すっきりしている、うまみを感じるなど、ある程度の酒質の判断ができるようになる。

大吟醸は50%未満、吟醸は60%まで米を削った酒。特別純米酒ははっきりとした定義はなく酒蔵の自主基準のようなもので、純米酒よりも精米具合が数%高い、低温長期発酵など手間がかかる製法をしているものという分け方。1級、2級といった級別制度(1992年に廃止)の名残といえる。

価格は手間をかける大吟醸酒が高価だが、味については嗜好によって左右されるので、飲み比べて個人の好みで決めるしかない。一般的には純米よりも醸造アルコールが入っているほうが飲みやすく香りが立つ。大吟醸のように華やかな香りのものは食前酒、食後のデザート酒、もしくはさっぱりとした料理と一緒に飲むと相性が良い。食中酒としては純米や本醸造、普通酒の方が合うという人も多く、日本酒初心者なら、1杯目はフルーティーで華やかな大吟醸や吟醸、食中酒として杯を重ねるなら純米や本醸造で試してみては。

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