■茂木雅世のお茶でchill out!
昔ながらのお茶屋さんに行くと、お茶とともに「海苔」が販売されていることが多くあります。
「お茶屋さんなのにどうして海苔?」と疑問に思ったことがある人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は「お茶屋さんにまつわるみんながなんとな~く疑問に思っていること」を直接お茶屋さんに質問してみるべく、上野のアメ横で70年以上お茶屋さんを営んでいる「君野園」を訪れました。
お茶屋さんなのに、店内に海苔が並んでいる理由は一体…
関東近県のお茶屋さんに多い現象…!?
「新茶の季節が4月5月あたりで、新のりの季節が11月12月あたり。旬の時期が真逆なんです。お茶の季節がひと段落したら、のりを販売するというのが、関東近県のお茶屋さんの定番でもありました」
そう答えてくださったのは、君野園の君野玄一さん。
確かに言われてみれば、京都などのお茶屋さんに行くとお茶と茶道具を扱っていることが多いように思いますし、「のり」や「しいたけ」をお茶とともに販売しているのは、関東近県のお茶屋さんに多いような。
旬の季節が違うものを2つ取り扱うというのも理にかなっていますよね。
「あと、お茶も海苔も湿気を嫌うもので、管理の仕方が似ているというのもあります。」
お茶や海苔だけでなく、しいたけを取り扱っているお茶屋さんも時々見かけますが、
幼き頃の私は「お茶・海苔・しいたけ…なぜ!!」とずっと不思議に思っていました。
それらの食材の共通項といえば、「湿気をさけて保存すること」
取扱いが似ているということもあり、お茶と一緒に販売するのにも、ちょうど良い食材だったということも理由の一つだったそうです。
2つめに伺ったのは、お茶好きの間では「あるある」なこの話…。
自宅で淹れるとお茶屋さんで飲んだ味と違うのはなぜ!?
「お茶屋さんでおいしいと思ったから買って帰ったのに…
家で淹れるとなぜか違う味になってしまう」
君野さん自身もお客さんから良く言われることなんだそうですが、これについてもお茶屋さんならではの見解が…。
「お茶の淹れ方については詳しい方も多いのですが、お湯の沸かし方を意識している人は少ないように思うんです。個人的にはお湯の沸かし方がポイントだと思います」
最近は電気ケトルでお湯を沸かすご家庭も多くなっていると思いますが、君野さん曰く、それだとお湯を“完全に”沸騰させることが難しいのだそう。
君野園ではお湯を沸かす際に、必ずやかんのフタを取って、3分~5分程ぐらぐら沸騰させ、それを冷ましてお茶を淹れているのだとか。
「沸騰させることで、カルキのにおいもしっかり飛ばすことができます。
また水の分子が細かくなることで、お茶の葉にお湯が浸透しやすくなって、お茶の味がしっかり出るんです」
お湯の沸かし方にちょっと気を遣ってみたら、お茶屋さんで飲んだあのお茶の味わいが再現できる確率も高くなるかもしれません。