ゲームは1日1時間まで!
テレビは夜9時まで!
子どもの頃、このテの規則を親に強いられていたものの、こっそりルール違反を犯していた人は多いはず。
現代では、スマートフォンという多様な楽しみをもたらしてくれる便利なツールが出来てしまったがために、保護者の方の気苦労も昔以上に絶えないことだろうが、実際にところ、どれくらいの子供たちが親御さんと取り決めた「スマホルール」を反故にしているのだろうか?
今回、スマホを所有している中学生男女180名を対象にしたアンケート調査がNTTドコモにより実施された。
親とのスマホルール、6割超が「破った経験アリ」
はじめに、「スマホデビューをするときに、親とスマホ使用に関するルールを決めましたか?」という質問が行われたところ、半数近く(49%)が「決めた」と回答した。
しかし一方で、そのうち6割超(63%)が「親と決めたスマホルールを破った経験がある」と回答。
また、「初めてスマホルールを破ったタイミング」についての質問が行われると、スマホデビューをしてからわずか「半年未満」のうちにルールを破っている中学生が79%にのぼることが明らかに。
具体的にどのようなルールを破ったかを聞くと、以下のような回答が挙げられた。
・「ゲームは1日1時間までと言われていたが、トイレに持ち込んでそれ以上やってしまった」(14歳・女子)
・「友達とメッセージのやり取りが続いていたので、夜10時までというルールを破った」(15歳・男子)
・「決められたアプリ以外は使わないルールだったが、友達から誘われて、みんなが使っていたアプリをダウンロードした」(15歳・女子)
自分の欲求のためだけでなく、友達付き合いの影響でルールを破ったという学生も多いようだ。
スマホデビューにあたっては、ルールを最初に決めるだけでなく、きちんと守らせるための工夫や仕組みづくりも重要であると言えよう。
親に隠れて「こっそり課金」、中学生の5人に1人
続いて、「親に内緒でこっそり課金をしたことはありますか?」という質問が行われたところ、約5人に1人(19%)が「ある」と回答。
具体的な方法としては、「プリペイドカードを購入して課金した」が68%で最も多く、以下、「(課金は親に禁止されているが)自分のおこづかいを使って課金した」(26%)、「キャリア決済(スマートフォン決済)で課金をした」(24%)と続いた。
また、「スマホで課金したことは、親にバレましたか?」と質問が行われたところ、「一度もバレていない」と答えた中学生が68%という結果に。
子どもの「こっそり課金」は、親が把握できないケースが多いようだ。
なお、具体的にどのようなことに課金をしたかを聞くと以下のような回答が挙げられた。
・「ゲームで使うアイテムを購入した」(13歳・男子)
・「どうしても欲しかった有料アプリを買った」(13歳・女子)
・「アイドルの有料会員サイトを見るために課金した」(15歳・女子)
親に隠れて子どもが課金をするという事態に陥らないためには、課金を頭ごなしに否定するのではなく、「おこづかいの範囲でやりくりできるので購入してよいか」など、子どもが相談・交渉しやすい環境をつくることも重要かもしれない。
有害サイトの閲覧経験がある子どもは3人に1人、違法アップロードサイト閲覧も
さらに、スマホに関連した「親に伝えていない、または隠れてやっていること」を尋ねる調査が実施されたところ、次のような回答があがっている。
調査の結果、有害サイトの閲覧経験がある中学生は約3人に1人、違法アップロードサイトについても約5人に1人にのぼることが判明。
子どもをスマホトラブルから守るためには、法律や制度といった背景についてきちんと家庭で理解を促すとともに、機能制限などの仕組みを取り入れることも重要と言えそうだ。
また今回は、フリマアプリを活用して、親が知らないところで金銭を得ている中学生も1割以上存在することも明らかに。
アプリの利用規約によっては、子どもでもおこづかい稼ぎができる環境にあることを親もしっかりと把握し、家庭ごとに報告や相談のルールを作っておくとよいかもしれない。
フィッシングメール、詐欺サイト……親が知らない間にリスクにさらされる子どもたち
また近年は、芸能人・会社・ゲームなどの名前を騙って、まるで本物のような文章でフィッシングサイトに誘導したり、金銭の振り込みを促したりする「詐欺メール(フィッシングメール)」が問題になっている。
今回、子どもたちに「詐欺メール」を受信した経験があるかを質問が行われると、実に33%が「ある」と回答。
また、メールや広告などを誤ってクリックし、「詐欺と思われるサイト」にアクセスした経験の有無を聞いた質問でも、同じく3人に1人(34%)が「ある」と答えていた。
一方で、「詐欺と思われるサイトにアクセスしてしまった際に、親に相談・共有をしましたか?」と質問が行われると、79%と8割近くが「相談・共有はしていない」と回答。
親が知らない間にリスクにさらされている子どもたちは、決して少なくないようだ。
スマホデビュー時には、携帯電話会社のフィルタリングサービスなどを使用し、詐欺サイト等から子どもを守る処置が必要と言える。
家庭教育のプロが教える、スマホデビュー時のポイント
こうした結果を踏まえたうえで、家庭教育コンサルタントの渋谷亜佐子さんが、子どものスマホ使用との向き合い方について私見を述べた。
一方的に押し付けるだけはNG! 子どもにスマホルールを守らせるためのポイントとは?
子どものスマホデビューにあたり、ルールをつくるご家庭も多いと思います。スマホは便利で楽しい機能がある反面、ネット依存やトラブルのリスクを考えると心配ですね。
特に思春期の子どもは自己を形成する過程にあり、時にリスクを冒してでも未知の世界へ足を踏み入れることもあります。
だからといって親が一方的に叱ると子どもは反発してしまうもの。では、子どもにルールを守らせるにはどうすればいいのでしょうか。
<ルールづくりのポイント>
ルールをつくるうえでのポイントは次の3点です。
1.子どもにルールを考えさせる
2.決めたルールは家族全員で守る
3.トラブルや困ったことがあったら家族みんなで話し合う
大切なのは子どもを理解すること、子どもがリスクをイメージし、ルールに納得できるよう話すことです。
<ルール運用のコツ>
ルールを通じて「スマホを自己管理する方法」を子どもに学ばせるようにしましょう。また、スマホやネットの使用にあたっては絶対に守らなければならない法律があり、違法行為に対しては罰則があります。
しっかり親子で調べておくことも大切ですね。また、子どもの生活状況や年齢に合わせてルールは随時更新していきましょう。
スマホを共に使う親子として、時には子どもの視点でスマホ世界を一緒に楽しんでみるのも良いですね。
スマホデビューは、マネー教育のチャンス! 料金プラン比較で金銭感覚を養おう
今回の調査では、親に内緒で「こっそり課金」をした経験のある子どもが5人に1人もいることがわかりました。
また、隠れて課金はしていなくても、お子様のスマホ使用料をみて「どうしてこんなに高いのか」と頭を悩ませている親御さんもいらっしゃると思います。
このような時、子どもにどうやってお金の大切さを教えればいいのでしょう。大切な事はお子様を責めたりせず、頭ごなしに叱らず、まずはなぜそんなにお金をかけてしまったのかを時間をかけて聞くことです。
そして、子どもがスマホを持ち始めたタイミングは、逆に「お金の教育」を本格的にスタートするチャンスと捉えましょう。
例えば、携帯の請求書を見て、何にお金がかかっているのか、節約できるところはないか、お子様と一緒にプラン比較をしてみてはいかがでしょうか。家族みんなでスマホ料金を考える機会をつくることは、お金の使い方を知る上でも重要なことですね。
お金はただ欲しいものを手に入れるためにあるのではなく、親が苦労して稼いだものであること、そしてそのお金を配分しあって家族みんなが生活できていることを理解させましょう。
子どもの将来を考えると、金銭感覚を早めに養っておくことが大切です。スマホの料金プランを考えることは、お金の教育には最適ですね。
子どもを重大なトラブルから守るためには、親がスマホの知識を深めることも重要
また、「お金」だけではなく「安全」についても子どもと一緒に考えることが重要です。子どもたちは、今後さらに高度な情報社会を生きていくことになります。
今やテクノロジーと関わらずに生活することは事実上不可能です。ですから親はどんなに心配でも子どもとスマホを切り離すことはできません。子どもを重大なトラブルから守るためには、まず親がスマホの持つ危険性を十分理解することが大切です。
具体的には、スマホの機能についての知識を深めましょう。2018年2月に施行された「青少年インターネット環境整備法」では、18歳未満の使用者に対して携帯電話事業者がフィルタリングを有効にすることが義務づけられています。
他にも、最近の携帯電話には子どもを守るための様々な機能があります。「スマホは危険」と心配するよりも、スマホの使い方をしっかりお子様と話し合うことを実践しましょう。そうすることで子どもなりにリスクを理解し、未然にトラブルを回避できるようになります。
携帯電話会社のアフターサポートを活用するのもお子様をトラブルから守る手段としておすすめです。どんなサポートがあるのか是非調べてみましょう。
また、万が一トラブルが発生した場合でも、子どもが親にいち早く相談できるような親子関係を日頃から築いておくことも大切ですね。
渋谷亜佐子(しぶやあさこ)/ 家庭教育コンサルタント
家庭教育や、母親の教養・マナーアップをサポートする「MOTHER CRAM」を2015年に設立。オリジナルの講座や勉強会を主催するほか、学校法人や進学塾でも保護者向けセミナーを実施。子どもの躾(しつけ)や家庭教育のノウハウを、母親目線でわかりやすく指導している。セミナーは「子育てが楽しくなった」とリピートする参加者も多数。また、家庭教育にとどまらず、既婚女性を対象としたビジネスマナー講座やビューティー講座、接客サービスマナー検定の資格が取得できる講座も開催している。
<調査概要>
調査エリア:全国
調査期間:2018年12月14日~12月17日
調査方法:インターネット調査 /
調査対象:13歳~15歳 中学生男女180名 ※スマートフォンを所有している方
出典元:株式会社NTTドコモ
構成/こじへい