日常生活に刺激が足りないと感じたら、ミステリーに没頭するに限る。普段味わうことのないハラハラドキドキ感を味わえるミステリー小説・ミステリー映画は、年齢を問わず幅広い層から人気が高い。
一口にミステリーと言っても、その種類はさまざまだ。事件の解決が目的なもの、謎を解き明かすもの、そして中には人間の存在について考えさせられる哲学的な内容のものも存在する。
本記事では、ミステリー好きな方はもちろん、ミステリー初心者の方まで楽しめる名作を紹介する。
【目次】
最高のミステリー小説といえばこれ!
まずは、定番のおすすめミステリー小説を紹介していこう。すでにミステリーファンの方でも、読み返してみると意外な発見があるかもしれない。ぜひ、何度でも繰り返し読んでみてほしい。
今村昌弘『屍人荘の殺人』
今村昌弘のデビュー作となる『屍人荘の殺人』。同作品は、デビュー作ながら「このミステリーがすごい!2018年版」「週刊文春ミステリーベスト」「2018本格ミステリ・ベスト10」で第1位を独占した話題作だ。
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介が、映画研究部の夏合宿に参加するところから話は始まる。とある事態により、訪れたペンションに立て籠もりを余儀なくされ、そこで連続殺人事件が発生。葉村譲、明智恭介と探偵少女(剣崎比留子)が事件の謎を解き明かす物語。「『定番』でありながら『斬新』」と、多くの読者が評価している。
出典 公式サイト|今村昌弘『屍人荘の殺人』
アーサー・コナン・ドイル シャーロック・ホームズ全集【全9巻】
言わずと知れた海外ミステリー小説の巨匠コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズは、その後のミステリー・探偵小説に多くの影響を与えている名作。ホームズシリーズの作品が、「好きなミステリー小説ランキング」の上位にランクインしている方も多いだろう。
ホームズシリーズは、天才探偵ホームズと少しドジな同居人ワトスン博士が、数々の難事件を解決していく物語だ。全集は、文庫で本全9巻ほどと読みやすい量。1巻目『緋色の研究』では、ホームズとワトスンの出会いも描かれている。今もなお愛され続けるミステリーの名作を、全集で一気読みしてみてはどうだろうか。
出典 公式サイト|アーサー・コナン・ドイル シャーロック・ホームズ全集【全9巻】
伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
『ゴールデンスランバー』は、2008年に本屋大賞を受賞、2009年「このミステリーがすごい!」で1位になった伊坂幸太郎の代表作の一つ。2010年には同名の映画も公開された。(主演:堺雅人)
主人公の青柳雅春は暴漢に襲われていたアイドルを助け出したことで、地元の有名人になっていた。舞台は「首相公選制」が存在する現代。仙台でパレードをしていた首相が暗殺される。その犯人と疑われ青柳は、逃亡生活を余儀なくされた。人との繋がり、信頼がテーマになっているミステリー作品。
出典 公式サイト|伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
衝撃の結末!どんでん返し系ミステリー小説のおすすめ
思いもよらぬ結末にハッとさせられるのも、ミステリーの醍醐味の一つ。ここでは「どんでん返し系」と呼ばれるミステリーの名作を紹介する。
浦賀和宏 『彼女は存在しない』
「どんでん返し系」として名高い浦賀和宏の『彼女は存在しない』は、横浜を舞台としたサイコミステリー。この物語は「多重人格者」を一つのベースにしている。
恋人である貴治の死により日常が狂い始める香奈子と、妹の異常行動を目にした根本は、事件によって引き合わされる。タイトルの「彼女は存在しない」の意味とは何なのか。それぞれの目線で物語が進行し、衝撃の結末で圧巻される読者が続出。「重め」の作品が好きな方におすすめ。
出典 公式サイト|浦賀和宏 『彼女は存在しない』
綾辻行人『十角館の殺人』
日本ミステリーの傑作と称される綾辻行人の『十角館の殺人』。その後の「館シリーズ」も評価が高い。物語は、これから殺人を行う犯人の独白から始まり、終盤には衝撃の結末を迎える。
大学の推理小説研究会のメンバー7人は、無人島(角島)にある「十角館」を訪れた。過去に角島で起きた事件に興味を持った7人が、殺人事件に巻き込まれていく。繰り返される殺人の犯人を見つけ出すまでの物語。最後まで一気に読みたくなること間違いなし。
出典 公式サイト|綾辻行人『十角館の殺人』
おすすめのミステリー映画【邦画編】
ミステリー映画には、謎が明らかになっていく気持ちよさに加え、視覚に訴える「ならでは」の面白さがある。文字を読む気分ではない時には、映画でミステリーを楽しもう。ここでは、日本のミステリー映画を紹介する。
湊かなえ『告白』
湊かなえのデビュー作となる『告白』。2009年に本屋大賞を受賞し、その後映画化された。(主演:松たか子)
物語は、中学教師が「校内で我が子を亡くしたこと」をホームルームで告白することから始まる。語り手が次々と変化し、異なる目線から事件が語られていくのも面白い。あらゆる角度から、徐々に事件の全貌が明らかになっていく物語に、誰しも引き込まれるはずだ。松たか子の「冷静な怖さ」の演技にも注目。
『探偵はBARにいる』
『探偵はBARにいる』は、東直己の推理小説シリーズ『ススキノ探偵シリーズ』を原作とした映画作品。主演は、大泉洋・松田龍平の二人。「探偵と相棒」というお決まりパターンでありながら、この作品では「相棒の方が強い」点が面白い。
事件を解決していくミステリーでありながら、大泉洋のキャラクター・演技も手伝い、笑えるシーンも多い。ライトなミステリーを好む方におすすめしたい。現在までに3作品が公開されている。
おすすめのミステリー映画【海外編】
最後に、海外のおすすめミステリー映画を紹介する。海外映画は、大規模なセットや演出が楽しめる点が魅力だ。洋画ミステリーの、スケールの大きさを体感してほしい。
ロン・ハワード監督『ダ・ヴィンチ・コード』
一世を風靡したダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』の映画版は、ミステリー好きに限らず、都市伝説・オカルト好きな方にもおすすめしたい作品。
トム・ハンクス演じるハーバード大学のラングドン教授は、宗教象徴学の専門家。ルーブル美術館で起きた奇妙な殺人事件の遺体は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」を模したものになっていた。ラングドン教授は、暗号のダイイングメッセージをもとに、事件と「キリストの聖杯」の謎に迫っていく。続編となる『天使と悪魔』、最新作『インフェルノ』も併せて観たい。
ロマン・ポランスキー監督『チャイナタウン』
ロマン・ポランスキー監督の『チャイナタウン』は、1974年公開のアメリカ映画。古い映画だが、今でもミステリーファンからの人気が高い。
作品の舞台は1930年代のアメリカ。当時カリフォルニア州では、ロサンゼルス上水路の水利権や供給問題により、水不足が深刻化していた。(カリフォルニア水戦争)そんな中、私立探偵のジェイク・ギテスは不倫調査の依頼を受け、市の水道局幹部ホリス・モーレイを調査することになる。
不倫現場を写真に収めたものの新聞にすっぱ抜かれ、その後ホリスも何者かによって殺害される。実は、調査依頼をしてきたのはモーレイ夫人ではなかった……
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文/oki