タイヤ交換で用意したい工具や道具とは?【意外と知らないクルマのこと】
パンクなど自分でタイヤ交換する際に、緊急であればクルマの車載工具を使えば対処できるのはご存知のとおり。
ただそれは、あくまでも緊急の場合であって、なるべく安全かつ適正にタイヤ交換するのであれば、専用の工具や道具が必要となる。
そこで、冬タイヤとの交換やローテーションなど、通常のタイヤ交換の際に必要な工具や、あると便利な道具などを紹介しよう。
(1)リジットラック(通称:ウマ)
車載のパンタグラフジャッキもそうだが、ジャッキは、基本的にはクルマを持ち上げるのが目的。そのジャッキアップしたクルマを少しでも安定させるのが、リジットラックの役割なのだ。
このリジットラックをかけられる箇所は、タイヤ付近の4つのジャッキアップポイントとなるのだが、そのほかにも剛性に問題のない部分であったら可能。
ただし、車種によって可能な部分が異なり、もし間違うとアンダーパネルを割ってしまったり、車体フレームを歪めてしまう危険性があるため、あらかじめディーラーや整備工場などで確認しておくといいだろう。
また、このリジットラックには、車体を傷つけたりジャッキアップポイントがつぶれないように保護するゴムのアタッチメントが付属するものもあるので、そのタイプを選ぶことをおすすめする。
(2)フロアジャッキ(ガレージジャッキ)
手でハンドルをまわすパンタグラフジャッキに比べ、油圧式のフロアジャッキは、ハンドルの上下運動だけで、それほど力を入れなくても楽々と車体を持ち上げることが可能。
さらに、フロントもしくはリアのタイヤ2輪を同時にジャッキアップできるので、作業効率にも優れている。
このフロアジャッキの場合もかけられる個所は、タイヤ付近の4つのジャッキアップポイントのほか、フロントとリアにもあるため、やはりディーラーや整備工場などで確認しておくといいだろう。
また、こちらにも保護するゴムのアタッチメントが付属もしくは別売りとなっている場合があるので、一緒に揃えておきたい。
なお、フロアジャッキには、大小のサイズがあり、持ち上げられる最大荷重にも違いがある。
もちろん、大きいサイズの最大荷重が高いタイプを選んでおけば、多くの車種に対応できるのだが、逆に本体が大きすぎて車高(最低地上高)が低いクルマでは車体下に入らないということもある。
その場合、車高を高くするスロープを使うこともできるが、手間もかかってしまう。それらを考慮して、自分の現在のクルマはもちろん、今後乗り換える場合のことも想定して選びたい。
(3)クロスレンチ(十字レンチ)
正直、車載工具のL型ボックスレンチは、力を入れづらく使いにくい。このクロスレンチであれば、安定してまわしやすく、数多いホイールナットを脱着する作業も早くて楽に行える。
しかも、クルマのホイールによくあるソケットサイズの17mm、19mm、21mm、23mmなどに対応しているため、違う車種などでも使いまわしが可能。ぜひ、揃えておきたい工具のひとつだ。
(4)トルクレンチ
タイヤを適正に取付けるのに重要な工具が、このトルクレンチ。ホイールナットもしくはボルトを締める場合、緩いのは当然ながら締め込み過ぎるのも、ネジ山を切ってしまう恐れがあるため絶対にNG。
通常、タイヤ交換する際は、車種によってメーカーが指定する規定トルク(普通車でおよそ100~120N・m)が決められている。
その規定トルクどおりに締め込むことができるため、自分でタイヤ交換する場合は、必ず用意したい工具だ。
なお、このトルクレンチは、初心者でも設定しやすいデジタル式なども販売されている。また、メーカーの指定する規定トルクは、取扱説明書などに記載されているので、あらかじめ確認しておくといい。
(5)軍手とタイヤ止め
この軍手(できればすべり止め付き)とタイヤ止めは、外出先などでも何かと重宝する。それほどかさばる物ではないので、三角表示板と併せてクルマに常備しておくことをおすすめする。
(6)タイヤリフター
このタイヤリフターは、絶対に必要な道具ではないのだが、あるととても便利なので紹介したい。
実は、タイヤを脱着する際に最も苦労するのが、重いタイヤを持ち上げながら行うホイールのボルトの穴の位置合わせ。
これを使えば、タイヤを載せて移動も可能で、ハンドルで高さを調整できる上、タイヤ自体を回転させることもできるので、ボルトの穴の位置合わせが楽にできるのだ。
しかも、脱着の際にボルトなどを傷めてしまう心配も少ないスグレもの。
特に、最近どんどん大きく重くなっているタイヤにはもちろん、輸入車のようにハブボルトではなくホイールボルトの場合は、大変重宝する。また、収納の際も分解できるので、保管場所に困ることは少ないだろう。
ちなみに私は、これのおかげでタイヤ交換による腰痛や筋肉痛のリスクがかなり低減できたことをつけ加えておく。
文・撮影/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)
クルマは走らせてナンボ!をモットーに、どんな仕事にも愛車で駆けまわる日々。クルマのほかにもグルメやファッション情報、また小学館Men’s Beautyでは、男性に向けた美容・健康法、化粧品情報なども発信。