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台湾電力のスマートメーター導入で巻き返しを図るパナソニックの高速通信技術「HD-PLC」

2019.02.04

2020年までに住宅設備事業の海外売上げ1,000億円を表明したパナソニック。台湾で行われた取材見学会の様子は前回記事で紹介したが、その際、昨冬より台湾電力のスマートメーターに採用が始まった「HD-PLC(高速電力線通信技術)」について、同通信基板の生産拠点となる「台湾松下電材(股)有限公司」にて取材ができたので、今回はこちらについて紹介していく。

シェア8割を担う配線器具の製造拠点へ

訪れた「台湾松下電材(股)有限公司」は、台湾桃園空港から車で30分ほど走った山沿いの場所にある。同社は台湾でシェア8割を占める配線器具の生産拠点として、商品の企画開発から部品製造・加工、組み立て、出荷まで、一貫したものづくりを行っている。その同社で2018年、新たにスタートしたのが「HD-PLC」の通信基板製造だ。

台湾松下電材(股)では、パナソニックが創業当時から扱う、スイッチ、コンセントなどの配線器具、LED調光器具などを自社一貫生産している。

HD-PLCとは「High Definition Power Line Communication」の略で、「高速電力線通信」のこと。「PLCは電力線をデータの通信経路として使用する通信方式で、既存の電力線が利用できるのがポイント。新たにLANケーブルを敷設する必要がなく、作業の手間やコストを大幅削減できるほか、無線LANが届かない場所でも電源さえあれば、データ通信できるのが特徴です」。そう説明してくれたのは、パナソニック ビジネスイノベーション本部 HD-PLCプロジェクト 主幹、田中祥介氏だ。そのPLCを、最高速度240Mbps、最新のQuatro Coreでは1Gbps(4倍モード)まで高速化し、HD、つまりハイビジョンクラスの高品位映像通信を可能にしたのが、HD-PLC、というわけ。

PLCは既存の電力線に、電力とは異なる周波数の通信信号を重畳して通信を行う仕組み。さらに高周波帯域を利用することで高速の通信が行える。またPLCの信号は暗号化され、特殊な変調信号になっているため、機器の間では盗聴されない。

実はこのHD-PLC、パナソニックが2000年にコア技術を開発して以降、家庭用の専用アダプターを発売するなどして一般での普及を目指していた。だが一つのケーブルを複数の機器で利用することによる伝送速度の低下など、技術面での課題や、Wi-Fiの普及により市場拡大に至らなかった。

けれども2010年には国際規格(IEEE、ITU-T)を取得。さらに2015年にはHD-PLC対応アダプター機器自身が中継機の役割を担い、バケツリレーのようにして情報を送る〝マルチホップ技術〟の確立により、最大2〜3kmまでの長距離通信を実現して通信エリアを拡大。「今回の台湾電力のスマートメーターでも、このマルチホップ機能の長距離通信が高く評価された」と田中氏。大規模な通信インフラを支える基盤技術として、主な用途を工場、ビル、建設現場など、産業用へて舵を切り直すとともに海外での需要に目を向け、一気に普及を目指す考えだ。

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