先日、東京都がインフルエンザの流行警報を出したように、インフルエンザや風邪にかかりやすい時期が続いている。
「自分が知らないだけで、医学の進歩で風邪の特効薬でも開発されているのでは?」と思いたくなるが、風邪のウイルス全てに効く「万能ワクチン」は存在しないと言うのは、医学博士で経営学修士(MBA)の裴英洙氏(現ハイズ株式会社代表取締役社長)だ。
特効薬がないのなら、重要になるのが風邪をひかないための予防策。
裴氏は、著書『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?』(裴英洙/ダイヤモンド社)の中で、風邪の予防策をさまざま提示している。いずれも、一般の人が容易に実行できるもので、それらを実践すれば、風邪をひくリスクを抑えられると力説している。
では、具体的にどういった予防策があるのだろうか。今回は、主に本書を下敷きに、そこで説かれている予防策をいくつか紹介したい。
既に風邪をひいている人に近寄らない
裴氏によれば、風邪の原因ウイルスは、接触感染や飛沫感染によって他の人にどんどん感染してゆくという。
「接触感染」と聞くと、「直接触れなければ大丈夫」に思えるが、実は間接的な接触でも感染するリスクがある。例えば、風邪をひいている人が触ったコーヒーカップの取っ手に、健常者が触れるという海外での医学研究では、被験者10人のうち5人が感染したという。
また、風邪をひいている人が咳やくしゃみをするたびに、数万~数百万個単位のウイルスが外に飛んで、近くにいた人がそのウイルスを吸い込んで感染する。これが飛沫感染で、インフルエンザはもっぱらこのかたちで感染が広がる。
これから考えると、ひきこもることが唯一の予防策になってしまうが、一般の社会人にはそれは不可能。
ただ、雑踏やオフィスの中でも、特に危ないポイントというものがあり、そこを避けるのが次善の策になると、裴氏は説く。
裴氏によれば、「出っ張っていて、多くの人が触るところ」が危険だとし、公共施設のドアノブ、電車の吊り革、階段の手すりなどには努めて触らないようアドバイスがされている。また、カラオケボックスのような閉鎖空間や子供が集まっている場所には近寄らないことで、風邪のリスクは軽減されるという。
もちろん、風邪をひいている人のそばに行かないのは言うまでもない。