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ピロリ菌は大腸がんによる罹患リスク増に関連、デューク大学がん研究所

2019.01.20

大腸がんの罹患リスクにピロリ菌が関連か

胃がんの原因として知られるヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)が大腸がんの罹患リスクの増大とも関連している可能性があることが、米デューク大学がん研究所のMeira Epplein氏らの研究で明らかになった。

特にアフリカ系米国人でそうした傾向がみられたという。研究の詳細は「Gastroenterology」2018年10月5日オンライン版に掲載された。

この研究は、米国の大腸がん患者4,063人と大腸がんのない4,063人(対照群)から得たデータを分析したもの。

解析の結果、大腸がん患者では41%、対照群では40%がH. pylori抗体を保有しており、抗体の保有率に大腸がんの有無で差はみられないことが分かった。

また、H. pylori抗体の保有率には人種差がみられ、白人患者のH. pylori感染率は平均を下回り、アジア系の患者では平均的なレベルであったが、黒人とヒスパニック系では高かった。

さらに、H. pyloriが作り出すタンパク質に対する抗体に注目して解析したところ、「VacA」と呼ばれる毒性の強いタンパク質が、特に黒人における大腸がんの罹患リスクの高さと関連していることが分かった。

これらの結果について、Epplein氏は「細菌感染とがんが関連するという結果はたいへん興味深い。それが抗菌薬により簡単に除去できるものであればなおさらだ」と話す。

ただし、今回の結果はH. pyloriが大腸がんの原因となることを裏付けるものではなく、「因果関係を突き止めるために、さらに研究を重ねる必要性を示す強い根拠となるものだ」と同氏は付け加えている。

Epplein氏は「黒人とアジア系の人種ではVacA抗体と大腸がん罹患リスクの高さに関連がみられる一方、白人とラテン系ではこうした関連はみられなかったのは意外だった」と指摘し、保有するH. pylori菌の違いが遺伝的要因によるものかどうかを明らかにする必要があるとしている。

さらに、同氏は「今後も研究を進めることで、VacAタンパク質に対する抗体が大腸がんリスクのマーカーになる可能性について明らかにしたい」と話している。

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(18)35088-1/fulltext

構成/編集部

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