年末に大掃除したはずなのに…
年が明けて幾日かが経過した今、早くも散らかり始めている部屋を見て、そんなふうに思う人も多いことだろう。
このように多忙につき、部屋の掃除になかなか時間をさけない人にとって便利なサービスが「家事代行」なわけだが、実際のところ、どれくらいの人が利用しているのだろうか?
家事代行サービスを利用している人は、わずか7%!
株式会社プラネットによる、有料の家事代行サービスの利用経験の有無についての調査が行われたところ、「利用したことはない」が最も多く93.0%。
「現在、定期的に(必要なときに)利用している」(2.5%)、「過去に利用したことがあるが、現在は利用していない」(4.5%)を合わせた“利用経験あり”計は7.0%という結果に(表1)。大半の人は家事代行サービスの利用経験がないことが明らかになった。
しかし、家事代行サービスを利用したいかどうか、今後の利用意向を聞いた調査では(表2)と、「お得な料金設定のサービスがあれば利用したい」が20.5%。
男女別に見ると、女性では25.6%と、4人に1人が回答していた。利用経験者はまだ少数でも、料金さえ見合うなら利用してみたい女性は少なくないようだ。
また、「今後、利用するつもりはない」は58.6%だが、女性では51.4%とさらに低く、逆算すると48.6%。半数近くが何らかの形で利用してみたいと考えていることになる。
さらに、家事代行サービスで利用してみたい家事は何かを尋ねる調査も行われた(表3)。トップ3は「レンジフードクリーニング」「浴室クリーニング」「エアコンクリーニング」。個人では十分には手が行き届きにくいと思われる箇所のクリーニングが僅差で並んだ。
男女差に注目すると、ほとんどの項目で女性が男性を上回っていた。特に上位2項目は、女性では33%を超え、3人に1人となっている。
家事代行で空いた時間を自分のために使いたいのは何十代?
続いて、家事代行サービスの利用経験者、または利用意向のある人を対象に、利用したきっかけや利用したい理由を尋ねる調査が行われた(表4)。
最も高かったのは「プロによる質の高い家事サービスを受けたいから」(44.1%)、次いで、「自分の手で掃除するのが面倒だから」(28.1%)だった。
この2つは、「家事が負担だから」(19.7%)、「ふだん忙しいから」(14.3%)など、日常の家事負担の軽減に関する項目を大きく上回り、自分では行き届かない部分にプロの手を借りたいというのが動機の第一であることがわかる。
男女別に見ると、上位2項目は特に女性で高くなっていた。さらに性年代別では、「プロによる質の高い家事サービスを受けたいから」が女性の50代以上で高いのに対し、「自分の手で掃除するのが面倒だから」は女性の30代・40代で高く、同じ女性でも年代によって微妙な違いが見られた。
一方で、「ふだん忙しいから」は男性の30代・40代で、「日常の家事時間の、時間短縮のため」は、男性の20代・30代で高いという傾向に。20代〜40代の男性は忙しい日常の家事負担軽減のために、家事代行サービスを活用したい意向があるようだ。
「家事代行で空いた時間を自分の時間として使いたいから」が、男女ともに30代で飛び抜けて高くなっていたのも特徴的だった。
“他人には頼みたくない家事”1位は、女性の3割が選んだアレ
今度は、家事代行サービスを利用したくない家事、つまり“他人には頼みたくない家事”は何か調査が行われた(表5)。すると、1位と2位に、「洗濯」「洗濯物の取り込み、アイロンがけ」が並ぶという結果に。
この2つは、女性が男性より10ポイント(以下、pt)以上高く、3割近くに達していた。女性は、自分の衣類を他人に見られたり触れられたりすることへの抵抗感がより強いと考えられる。
3位の「留守番・荷物の受け取り」も、女性が男性を10.5pt上回っていた。留守宅を他人に預けることについても女性のほうが抵抗感を覚えるようだ。男女差にさらに注目すると、9位までの項目はすべて女性が男性を上回り、反対に、10位以下の項目は男女の間にわずかな差しかなかった。
10位以下の項目は「クリーニング」(掃除)がほとんど。「クリーニング」は、プロに頼んだほうが効率的だったり、自分で掃除するのが面倒だったりするため、他人に頼むことへの抵抗感が低いと考えられそうだ。
女性では4割が「他人を家の中に入れたくない」
有料の家事代行サービスを利用したことがなく、かつ今後も利用するつもりがない人に、その理由を尋ねる調査が行われた(表6)。やはり最も高かったのは、「費用がかかるから、料金が高いから」73.3%で圧倒的1位。
次いで、2位が「他人を家の中に入れたくないから」(35.4%)。この項目は、男女別で女性が男性を8.6ptも上回り、女性では41.2%と4割を超えていた。
さらに女性では、全体で3位と4位の「自分、家族の家事に満足しているから」「家事は家族ですべきだと思うから」を抑え、「汚れているのを見られるのが恥ずかしいから」が3位。男性に比べ、他人に家の中や汚れているところを見られることへの抵抗感がより強いことがわかる。
性年代別では、「他人を家の中に入れたくないから」は女性の40代・50代及び70代以上で45%を超えていた。一方で、「汚れているのを見られるのが恥ずかしいから」は、男女ともに、50代以上で低下していくという傾向に。
「汚れているのを見られるのが恥ずかしい」は40代以下のほうが高く、中高齢層ほど、他人が家の中に入ることそのものへの抵抗感があるようだ。
実際に、若年層のほうが家の中が片付いていなくて汚いとも想像される。「自分、家族の家事に満足しているから」は、男性では30代以下、女性では40代以下で急降下し、それと比例するように「汚れているのを見られるのが恥ずかしいから」が高くなっていた。
一方、「自分、家族の家事に満足しているから」と「家事は家族ですべきだと思うから」は、男性では70代以上、女性では60代以上で急上昇。「家事のやり方に自分なりのこだわりがあるから」にも同様の傾向が見られた。“家事歴”が長いほど、各家庭なりのやり方が出来あがり、自分の家事への満足度も上がっているのかもしれない。
他人を入れたくない場所…寝室・自分の部屋・居間に続く男性の4位は?
家事代行サービスを利用したくない理由の中で、費用や料金の項目に次いで多かった「他人を家の中に入れたくないから」。そこで、家の中で他人を入れたくない場所はどこかについても調査が行われた(表7)。
最も高かったのは「寝室」で35.9%、続いて「自分の部屋」(32.1%)という結果に。やはりプライベートスペースには、他人に入られたくないと思う人が多いようだ。次いで、「居間・リビング」、「台所・ダイニングルーム」。家族のスペースにも、他人にはあまり入ってきてほしくないことがうかがえる。
男女差に注目すると、上位の項目はほとんど女性が男性を上回っている。男女差が最も大きかったのは「寝室」の9.4pt差、次いで「クローゼット」の7.5pt差だった。「クローゼット」は全体では8位だが、女性では6位にアップしている。女性のほうが高い項目が並ぶ中にあって、「配偶者・パートナーの部屋」は、男性のほうが高くなっているのも興味深い。
女性では「台所・ダイニングルーム」「風呂」「クローゼット」「トイレ」を下回る8位だが、男性では「居間・リビング」に次ぐ4位と大幅アップ。男性と女性、それぞれの心理がどのようなものなのかも気になるところだ。
結局、家事代行サービスは、利用したい? それとも利用したくない?
最後に、家事・家事代行サービスに対する意見や考えを自由回答で答えてもらう調査が行われた。やはり、キッチンの油汚れやカビ取りなど、プロのスキルに期待を寄せる回答が多く見られた。
また、「汚れへのストレスを軽減したい」「たまにリセットしたい」など、プロの手を借りて日頃の負担を軽くしたいという声も。「家事は家族でするもの」という意見は幅広い年代から寄せられたが、加齢により体力の衰えを実感するにつれて「お金で解決できる部分は利用したい」と考える人も増えるようだ。
【やっぱり、プロに頼みたい】
・エアコン・レンジフードの掃除は自分でやるより業者に任せたほう短時間で確実にきれいになるので、費用対効果は高いと思い、定期的にお願いしている。(女性・50代)
・古いマンションでカビに悩まされているので、カビ除去をお願いしたいです。自分の力では、もう限界…トイレ・玄関・洗面所・浴室のカビがきれいさっぱり消去されるのが、今の夢です!(女性・50代)
【お得な料金設定があれば…】
・週6で働いているので、安いパックセットなどがあれば試してみたいです。(女性・50代)
・引越し業者のようにいろいろなプラン(たとえば、依頼者本人も一緒にやる、汚れのひどいところは代行で後の拭き上げは依頼者など)があって、料金を選べたりしたらいいと思う。(男性・40代)
【 “リセット”したい】
・自分の掃除では限界があるので、家事代行サービスを利用して汚れへのストレスを軽減したい。(女性・20代)
・日頃仕事が忙しく、手が回らないところが多いので、プロの仕事でたまにリセットしたい。(女性・40代)
・年に一度プロに隅々まで大掃除してもらいスッキリしたい。日々の掃除が少し気楽になるから。(女性・40代)
【他人に頼むより、ロボットがいい!?】
・知らない人が家の中に入ることは気を遣うので、かえって疲れると思います。(女性・30代)
・家事代行サービスを頼むために、まず自宅を片付けなければと思ってしまう。(女性・40代)
・もう少しAIが進んでいけば、家事代行サービスをロボットにしてほしい。(女性・50代)
【家族ですべき…?】
・お金を払って家事をしてもらうことへの後ろめたさがまだある。(女性・20代)
・自分は利用したいが、夫は家事は家族でするものだと思っているので、認めてくれない。男性にはそのような古い考えの人がまだまだ多いと思うので、男性に理解してもらえるような広報をしてほしい。(女性・50代)
・家事全般に気を配って工夫することは脳にも体力維持にもいい。他人まかせにしたくない。(女性・70代以上)
【体力的に難しくなったら…】
・体力的にしんどい年齢になりつつあるので、お金で解決できる部分は利用したいと思う。(男性・60代)
・高いところの窓ガラス清掃などは頼みたい。最近は脚立に乗ることもこわくなった。(女性・70代以上)
・今は必要がない! 今後、夫婦ともに体に不自由ができたらお願いせざるをえないかも…。(男性・70代以上)
出典元:株式会社プラネット
構成/こじへい