お茶の色が「緑」だから良い!?
数年前に、ある展示会で見たお茶のパッケージ案が凄く記憶に残っています。
それは、開くとパッケージ内側の面全てが茶畑の写真になっていて、中から商品であるお茶が登場するというもの。
パッケージを開いて、茶畑の緑、山の風景を見た時、しみじみ「癒されるな~」と思ったことを覚えています。
特に、日々自然から離れて、仕事をしている人達にとっては、緑色という色はほっとする色に感じる人も多いのではないでしょうか。
確かに、お茶を飲むと癒される理由に、その緑色という「色」をあげる人も多いのも事実。
お茶をふるまう際に白地の湯飲みを使う理由も、お茶の水色、色味がきれいに見えるための工夫です。
お茶を淹れれば、どこでもそこに山の風景、茶畑の風が感じられるのも癒しポイントの一つかもしれません。
THE記憶を呼び起こす飲み物
急須で淹れたお茶を飲んだ人から「実家を思い出す」「小さい頃のことを思い出す」という言葉を言われることが良くあります。
大人になってから飲まなくなってしまったけれど、実家にいた頃は良く家族がお茶を淹れてくれたんだと思い出話をしてくれる人が多いのも、お茶にまつわる印象的なコトの一つです。
「お茶は喉の渇きを癒すだけでなく、心を癒す飲み物だ」なんて言われますが、それはお茶が「記憶を呼び起こす飲み物」だからというのも理由の一つなのではないかと思います。
お茶を飲みこんで、もう口の中に何もなくなっても、なお続く余韻・・・。
あのお茶の味わいの余韻は、心の中に忘れかけていた懐かしい風景やあたたかな記憶を連れてくる力があるように思います。
ほっとしたい時、リラックスしたい時には今までなんとなく、お茶を飲んでいたという方も、特に気にせず他の飲み物を飲んでいた方も、お茶の持つ癒しの理由が少しわかって頂けたのではないでしょうか。
せかせかした忙しい日々の中で、心に余裕がないな~と感じたり、ちょっと句読点が打ちたくなったら、お茶に甘えて、頼って、癒してもらいましょう。
【今日の一杯】越前 豆入り番茶
ほうじ茶と炒りたての大豆をブレンドした豆入りの番茶。お豆のこっくりとしたうまみやコクとほうじ茶の香ばしさのバランスがとても良くて、寒い季節にぴったりだなあ~となんだか最近はまっています。
文/茂木雅世(もき まさよ)
ティーエッセイスト/煎茶道 東阿部流師範/日本茶アーティスト
お茶好きがで高じて、2009年、仕事を辞めてお茶の世界へ。2010年よりギャラリーやお店にて急須で淹れるお茶をふるまい始め、現在はお茶にまつわるモノ・コトの企画・商品プロデュース・コラム執筆やメディア出演などの活動を行っている。FMyokohama「NIPPON CHA茶CHA」では最新のお茶情報を毎週発信中。
オフィシャルサイト:https://ocharock.amebaownd.com/
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